「人生最後まで残るものは何なのか」ブロウ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
人生最後まで残るものは何なのか
大金を稼いで贅沢してもそれは一時的な快楽に過ぎない。主人公のジョージは仕事仲間と公私共につるんでいたけれど、その関係だって所詮は金銭的な利益があるから生じる繋がりに過ぎない。金の切れ目が縁の切れ目。金銭的な利益が無ければ呆気なく消えてしまう。主人公の父親の「金は幻に過ぎない」というのはまさにそのことを表している。
人は人との繋がりで幸せを感じる生き物。だから多くの人は家族との関係で、無条件の肯定を受けることで幸せを感じて生きている。ジョージの場合それは唯一父親だった。彼は息子の悪い部分を含めて全てを受け入れるという、無条件の愛を示し続けてくれた。最愛の娘にも見放された彼が唯一幸せを感じられる瞬間は、父との繋がりを感じられる時間だったように思う。
人生の儚さを感じさせる映画だった。人生の最後まで残る大切ものは何なのか、見つめ直させてくれる映画だ。
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