ビヨンド the シー 夢見るように歌えばのレビュー・感想・評価
全2件を表示
またひとつお気に入りのミュージカルが増えてしまった
少年ボビー・ダーリンと大人のボビー・ダーリンが自らの物語を展開するという、普通の伝記映画とはちょっと違う構成。この映画を観るまではボビー・ダーリンという人物さえ知らなかったけど、タイトル曲だけは知っていた(『ファインディング・ニモ』でも流れてましたよね)。グラミー賞のみならずアカデミー賞にノミネートされたことのあるボビー。最近、多くの伝記映画が発表されているため影が薄くなってしまったけど、エンターテイメントにかける情熱、生き様という点では最も好感が持てる人物でした。 人気若手女優サンドラ・ディーと結婚、クラブ“コパカバーナ”での出演、オスカーノミネートといった華々しい成功物語のあたりでは、それほどでもなかったけど、義姉ニーナとチャーリーの家族愛に涙が止まらなくなってしまいました。その後の反戦フォークソングはちょっとヤケ気味で悲しくなったけど、ラスベガスのフラミンゴでの演奏は素晴らしかったです。 どこまで真実なんだろう?と考えてもみたけど、ケヴィン・スペイシーの思想もそのまま反映されていそう。歌も踊りも無難にこなすスペイシー。手術痕をみんなに見せてから歌わないでください。ハラハラするから・・・
にじみ出るスペイシーの愛情
見ようによっては怪作だ。スペイシーは30代後半で逝去したボビー・ダーリンを演じるには老けすぎているし、ボブ・ホスキンスが20代を演じるという無茶まである。ボビー・ダーリンが自身の少年時代と問答するという構成も見る人によってはナンセンスで不快だろう。 でも、しかし、このスペイシーのダーリンの人生への愛情は本物だ。複雑な出生による自己喪失やサンドラ・ディーへの深い想いを演じるスペイシーは似ていなくともダーリンその人だ。ナマ唄で勝負する根性と役者ぶりは吹き替えに頼った『レイ』のジェイミー・フォックスよりも素晴らしい。そんなスペイシーの愛情を見ているだけで、たくさんあるこの映画のアラも許せてしまう。 あと、ボズワース扮するサンドラ・ディー、可憐でした。互いに想い合っているのに幸せになれぬのは哀しいことです。
全2件を表示