あずみ : 映画評論・批評
2003年5月1日更新
2003年5月10日より日劇2ほか全国東宝邦画系にてロードショー
まさにチャンバラ・エンターテインメントだが
上映時間が2時間22分という長尺なのを知り、ダレ場があるんじゃないかと、一抹の不安を感じながら試写に向かったのだが、それはまったくの杞憂に終わり、アチラの言葉で言えばアクション・オリエンテッド。アクション・シーンが物語を牽引し、まったく長さを感じさせない出来映え。まさに“チャンバラ・エンターテインメント”である。
小山ゆうのベストセラー・コミックを原作に、少女にして刺客のあずみを上戸彩が凛々しく演じているのは、ファンならずとも好感が持てるし、彼女や刺客仲間のエモーショナルな葛藤をウェットになりすぎずに描いている点も良い。そうした清新なキャストに対し、原田芳雄は存在感を滲ませるが、見飽きた竹中直人はいかがなものか。また、オダギリジョーの怪演もやや浮き気味で、全体にポイントが高いゆえに惜しまれる。
さらに、これは個人的なリズム感のような視覚的快楽に起因するものかもしれないが、いくつかのアクション・シーンでショットが足らず、快感に繋がらない不満を覚えたのも確か。それに、音響効果を活かして、もっと迫力が出せたのではないか。けっして無いものねだりではないと思うが……。
(高橋良平)