あの頃ペニー・レインとのレビュー・感想・評価
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ひさびさにクリーム、レッドツェッペリン、ディープパープルを聴きたくなりました
素晴らしい青春映画に出会えました
大人への背伸び、親離れ、子離れ
異性との出逢いと別れ
誰にでもあったはずのこと
それが本作ではロックバンドの業界を舞台にしてかなりエキセントリックなだけのことです
ペニーレインとは、主人公のウィリアムと仲良くなる少女の偽名です
ビートルズの曲とは関係はありません
でもその偽名はやっぱりビートルズの曲が由来なのでしょう
原題よりも邦題の方が遥かに本作の本質を的確に表現しています
見事な邦題です
冒頭の1969年を除けば、1973年から1974年にかけてのお話です
なぜ1969年から始まるのか?を考えると
それはハードロックが生まれたであろう年だからかも知れません
レッドツェッペリンのファーストアルバムが発売された年
1974年で終わるのも純粋なハードロックが頂点を迎えた年だからなのだと思えます
その後ロックは産業化しはじめていくのです
1973年から1974年は正にマジックイヤー
ロックもソウルも、当たり年で素晴らしい名盤、名曲、名サウンドが百華繚乱した年だったのです
つまり青春の始まりと終わり
ウィリアムとペニーレインは猛スピードで駆け抜けて行ったのです
当時の洋楽が沢山かかります
その音が素晴らしい
普通の映画の音楽の音質ではないのです
ちゃんとロックの音質でなっています
ロックを好きでロックの音を分かっている人が、
生きたロックの音に調整し直しているのです
映画の通り一遍の音質で収録されていないのです
2018年の「アリースター誕生」もこういうロックの音になっていました
そんなに前にこんな音質でロックを鳴らす映画があったとは知りませんでした
ツアー中のとある街の地元の若者たちのパーティー会場でのシーンの騒音の中に、ディープパープルの名曲「Burn 」が微かに聞き取れます
この曲は1974年のリリースで、録音は1973年の11月
だからあのシーンは既に1974年で、その年の1月から2月頃のことだったのかも知れません
姉がベッドの下に残していったLPレコードはどれもこれもジャケットをチラッとみるだけで分かる名盤ばかりでした
良いセンスです
ひさびさにクリーム、レッドツェッペリン、ディープパープルを聴きたくなりました
一番聴きたいのはやっぱり「Burn (紫の炎)」です
甘酸っぱい青春譚
人は何かを喪失して初めて大人になる
1969年。サーファーショップが立ち並ぶ海沿いの街サンディエゴ。
離婚を原因として世間ズレするほど教育熱心な大学教授の母親。その中で素直に育っているウィリアムは秀才で飛び級をして上級生のクラスに入り弁護士を目指す。周りチビ扱いされるが喧嘩もせずおとなしい。
厳しく強い母親と反りの合わない姉のアニタは、母親から逃げるように彼と車でサンフランシスコへ旅立つ。ウィリアムは姉の残した「ベッドの下で自由を見つけて」の言葉通り、ベッドの下にザ・フーのトミーと「ロウソクをつけて聴くと未来が見えるわ」という姉の手紙を見つけ、その通りロウソクをつけてレコードをかける。少年の心に何かが始まる予感が生まれた。
1973年。ウィリアムは15歳になった。進学し周りより年下ながらもクラスで、それなりにうまくやっている。クリームマガジンの伝説のロック記者レスターに「利益に走ったロックは終わりだ、ロックは危機に瀕している」と教えられ、ブラックサバスのライブの取材の仕事を得る。
母親に車でコンサート会場に送ってもらう。会場裏口から取材だと言って入ろうとするが締め出され、あきらめかけたが、通りかかった前座バンド、スティルウォーターのメンバーに、彼らの新作の的確な解説をしてみせ、気に入られ、エネミーというニックネームで楽屋へのフリーパスをもらう。ウィリアムはロックショーの舞台裏に感激する。バンドのギタリストであるラッセルに「曲のセカンドバースの終わりにミスがある、でもそれが曲のツボになっていて、それがロックンロールなんだ」と教わる。夜の駐車場で母親の車に戻る、それを上空から映しだす。大人の世界を垣間見た夜だった。
数日後、ライオットハウスに出かけていく息子を見て母親は、成長とともにだんだん離れていくのを感じ、寂しく思う。
ローリングストーン誌から電話が入り、スティルウォーターのツアー同行記を3000字1000ドルで依頼される。記者のレスターも母親も反対するがウィリアムは決意してツアーバスに乗り込む。
アリゾナ州キングモーターロッジに着く。バンドメンバーはウィリアムがローリングストーン誌に記事を書くことに危機感を感じていた。プールサイドでラッセルに「昔は聞こえたサウンドが、今はもう聞こえない」と告白される。
バンドツアーに同行しているウィリアムにとって見るもの全てが刺激的で異世界に迷い込んだようだった。
ラッセルがライブ中に感電し、電気管理ができてないないとマネージャーのディックがプロモーターと喧嘩して会場を引き上げる。
レッドツェッペリンThat’s the wayがかかりバスの窓から朝日を見る。
トピーカの町でバンドのTシャツが完成したと喜んだが、ルックスのいいラッセルを中心に売ろうとしているデザインにヴォーカルは腹を立てラッセルにバンドを辞めろと言う。
ラッセルとウィリアムはトピーカ住民のハウスパーティに誘われる。LSDでラリったラッセルはバンドを辞めると言い「俺は輝く神だ」と叫んでプールに飛び込む。
次の日の朝、マネージャーのディックがラッセルを説得して連れ戻す。バスの中でエルトンジョンのタイニーダンサーをメンバーで歌い仲直りする。
グリーンヴィルでウィリアムは童貞を失う。その朝、ローリングストーン誌から追加の1000語を依頼される。
眩しく輝く音楽の世界だが、その裏側は酒と女とドラッグばかりの汚い世界だと知るウィリアムは、依頼されている記事がまとまらずホテルの廊下で1人泣く。ウィリアムはもう家に帰りたかったが、ラッセルは中西部のロックの街クリーブランドに強引に連れて行き、そこでデヴィッドボウイを見かける。ラッセルは電話で母親に「ウィリアムを堕落の道に落とさないで」と頼まれる。
業界通の大物マネージャが来て、言うことを聞けば君たちをビックなバンドにしてみせると言われる。いつまでもロックをやってられないぞと言う大物マネージャーに、バンドメンバーは彼が必要だと言う。ウィリアムは地元先輩記者レスターの「ロックは商業主義に負けた」という言葉を思い出す。
飛行機で移動しボストン、ニューヨークへ。ウィリアムはついにバントとともにアメリカを西から東へ横断した。ウィリアムはバンドにローリングストーン誌の表紙に決まったことを発表する。
母親はウィリアムの卒業式に1人で出席し悲しい思いをした。
移動のセスナ機で雷雨に見舞われ、緊急着陸となり、もう命が無いと感じたメンバーはみんな隠していたことを告白する。機体は無事雷雨を切り抜けたが、打ち明け話を聞いたメンバーは白け、ウィリアムは空港で嘔吐する。ラッセルに「自由に書け」と言われる。
ウィリアムはサンフランシスコのローリングストーン社に行く。バンドを褒めてばかりの記事ではダメだと言われ、一晩待ってくれと言う。
先輩記者レスターに電話で相談し「偉大な芸術は罪悪感と憧れから生まれる」と教えられる。
ウィリアムは正直に見たことを記事として書いたが、ローリングストーン社はバンドにその内容を否定され、裏が取れなかったとして記事はボツとなった。
ウィリアムはあらためてラッセルにインタヴューし、「音楽の何を愛してる?」と聞き、ラッセル「すべてだ」と答える。
ラッセルはローリングストーン誌にウィリアムの書いた記事はすべて本当だと言い、ウィリアムの記事が掲載されることになる。
スティルウォーターは、ローリングストーン誌の表紙を飾り、ロックの魂を捨て商業的に成功し、ツアーバスで走り去った。
ウィリアムは空港で呆然としていたところを姉のアニタと再会し、2人で家に帰る。
スチュワーデスになり大人として成長した姉のアニタは、いつも心配してくれていた母親の気持ちを理解し、抱きしめ、許し合う。
母は子供2人と久しぶりに食事をし、心から安堵し、幸せな時間を過ごす。
ウィリアムはタクシーで帰る姉を見送り、いつまでも手を振った。
この経験を通して、美しいものに憧れていた純粋な少年時代が終わりを告げたことを感じた。
そして、大人への一歩を踏み出した。
夕暮れの中、さわやかな風が吹いていた。
物語の流れがはっきりとしているものではない
総合65点 ( ストーリー:60点|キャスト:70点|演出:70点|ビジュアル:70点|音楽:75点 )
ペニーレーンというからイギリスの話かと思ったらアメリカが舞台だった。ペニーレーンが邦題になっているから、この名の女の子が重要な中心人物かと思っていたら、主人公の音楽界でのひと時の経験の話だった。ちなみに原題は『Almost famous』で、恋愛映画を想定させるものではない。
それでそのひと時の話だが、とりとめもない日常の話で展開としてはそれほどはっきりとしたものはない。ただ見るもの聞くもの全てが学校も家庭も上手くいっていない15歳の主人公にとっては異世界に迷い込んだかのようなもので刺激的で、それは視聴者にもほぼ同様だろう。特にこの時代のアメリカの音楽界の裏側の実態が見れるのは面白かった。全体に軽い滑稽な演出と演技であり、その中に個性的な登場人物と共に時々適度に真面目な場面を入れてくるので、メリハリもあって観やすい。
だけど物語性としてはしっかりとした流れがあるわけではなく、ペニーレーンとのことにしてもこれだけで終わりなのかと肩透かしだった。調べてみると当時15歳だった監督の実体験を基にした話らしく、なるほど15歳でこんなことを体験すればその衝撃は凄いだろう。自分もこんな体験があれば刺激的だし忘れられなくなるに違いない。でも実話だからこそ物語の展開としては興味深いものではなく、その時その時の体験談程度に近いものになっているだけだった。
劇中で歌われるエルトン・ジョンのTiny Dancerはもっと新しい作品だと思い込んでいたが、こんな以前に制作されていたとは知らなかった。全然古さを感じない名曲。
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あまずっぱい青春音楽映画
イマイチ感情移入できないけど
ロックバンドと一緒に行動する15歳という設定に無理を感じるので、イマイチ感情移入できない。けど、ママが息子や娘を心配するシーンとかホロッと来るところがある。個人的には盛り上がるところもなく、1.3倍速で観てよかった。
(通常の速度だと飽きるかも)
いつの時代も、青春は青春。
やっと見れた。
Almost Famous
古き良き時代の出来事
夢のまま
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