劇場公開日 2006年9月2日

40歳の童貞男 : 映画評論・批評

2006年8月29日更新

2006年9月2日よりユナイテッドシネマとしまえんにてロードショー

初セックスを大団円に用意したシンプルな構成がすばらしい

画像1

タイトルが示すとおり、主人公は「天然記念物」のような40代のオタクの童貞男。この人物設定がこのコメディの最大の武器だ!なぜって、「キスキスバンバン」という言葉があるように、映画は魅惑の「キス」や壮絶な「銃撃戦」を撮ってきたが、超官能的な「セックス」を撮った試しがない。映画狂のゴダール監督でも、「勝手にしやがれ」では「ジャンプカット」で省いたほど。セックスは観客それぞれに快楽原理があるからで、絶対的に下半身がうずく性描写は難しいのだ。

この映画が最高なのは、「初めてのセックス」を大団円に用意していること。映画全編で、「セックスをしたい」という主人公の欲望そのものを強力な「引力」にしているのだ。とにかくシンプルな構成がすばらしい。かといって、下品な下ネタに終始するわけでなく、お節介をやいてくれる大型家電店の同僚との会話でも、「洗練された笑い」をシチュエーションから抽出しているのがイイ。エイジアをはじめとする80年代の懐かしの(「ベストヒットUSA」風)ロック&ポップスも、ミスマッチしたおかしさがある。

ロマンティックコメディはヒロインの魅力がキモだが、キャスリーン・キーナーのハスキーボイスは声だけでもセクシーさを発散している。

サトウムツオ

Amazonで今すぐ購入

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む
「40歳の童貞男」の作品トップへ