「【精神の安定を欠きこわれゆく妻、母を戸惑いながらも不器用に愛する夫、子供達。この映画には或る家族の複雑なる絆が描かれている。ジーナ・ローランズとピーター・フォークの名演に釘付けになる作品でもある。】」こわれゆく女 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【精神の安定を欠きこわれゆく妻、母を戸惑いながらも不器用に愛する夫、子供達。この映画には或る家族の複雑なる絆が描かれている。ジーナ・ローランズとピーター・フォークの名演に釘付けになる作品でもある。】
■市のベテラン水道工事員・ニック(ピーター・フォーク)とその妻・メイベル(ジーナ・ローランズ)。
仕事で忙しいニックは帰りが遅く、メイベルはある時を境に心配の余りか見知らぬ男を家に上げる。
更には、ニックの同僚を集めて昼食を振舞うが、彼女の言動は上滑りし、気まずい雰囲気になり、同僚たちは家を後にする。
そんな状況下、ニックの母は、メイベルの様子を見て、3人の子、アンジェロ、トニー、マリアと引き離そうとするが、子供達もメイベルも激しく抵抗する。
だが、ニックはとうとう妻を精神病院に入院させる。
それから半年が経ち、メイベルの退院を祝うべく人々が集まる。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・観れば誰でも想うであろうが、精神の安定を欠いたメイベルを演じるジーナ・ローランズの物凄い演技に圧倒される。
だが、よく見れば分かるのだが、メイベルは只管にニックを愛し、3人の子、アンジェロ、トニー、マリアを愛しているのである。
故に、義理の母に子供達と離されようとすると、異常に抵抗をするのである。
・メイベルは、夫の同僚たちを一生懸命にもてなそうとするが、どこか歯車がずれた言動を取ってしまう。ニックはギリギリまで我慢するが、それでも堪忍袋の緒が切れてしまうのである。
・だが、ニックはメイベルと別れようとはしない。彼女が半年の療養から帰って来た時も、義理の母が招いた多数の友人、親戚を帰らせて、家族と、身近な人だけで迎えるのである。
<子供達は、母を気遣い”愛してる”と告げる。そして、ニックもメイベルの怪我を優しく治療して、家族四人で一つのベッドの上で、久しぶりの再会を祝うのである。
今作は、精神の安定を欠いた、こわれゆく妻を戸惑いながらも愛する不器用な夫、こわれゆく母を健気に心配し愛する子供達が描かれている。
この映画は、或る家族の絆が描かれている作品なのである。>