「 行け!火の玉ボーイパイロ!ライターがないと火の玉を作れなかった少...」X-MEN:ファイナル・ディシジョン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
行け!火の玉ボーイパイロ!ライターがないと火の玉を作れなかった少...
行け!火の玉ボーイパイロ!ライターがないと火の玉を作れなかった少年が成長したもんだと感心していたら、ガスバーナーみたいなモノを隠し持っていた。パロマ製か?
何故だかずっと気になっていたパイロとアイスマン。最後の戦いでは一騎撃ちを見せてくれたが、あんな必殺技を持っていたとは驚きだ。もちろん金属が埋め込まれているウルヴァリンが天敵とも言えるマグニートー(イアン・マッケラン)と戦うところも見所の一つ。最終的にはチームプレイというか、反則技というか、「4本も刺すなよ」と苦笑してしまいました。しかし、一番の見所は壁すり抜け技を持つキティちゃん(エレン・ペイジ)とジャガーノート(ヴィニー・ジョーンズ)の不思議な少年争奪戦でしょう。ミュータント同士の壮絶な戦いにも笑いを与えてくれるという素晴らしい演出でした。
サイクロプス(ジェームズ・マースデン)はブライアン・シンガー監督に引っ張られて『スーパーマン・リターンズ』の方に比重を置いてしまったためか、出番が少なく可哀想。そして、マグニートーの片腕として活躍していたミスティーク(レベッカ・ローミン)だってあれだけの仕打ちは可哀想すぎました。しかも、最期には素顔を晒されるし、恥ずかしい格好までさせられます。監督も交代し、新旧交代の時期がきたのでしょうか、まるでこれが最終作とは思えないほど仲間が死んだり、新しいメンバーが加わったりしていました。しかもラストシーンとエンドロール後にダブルで続編を予感させる映像が・・・
とりあえず3部作を通して見て、ミュータントと人間の間に戦争が起こり得るというテーマや平和的解決を模索するアメリカ市民の姿が垣間見える設定となっていて、異民族間の共存といった問題も浮き彫りにしているかのように思えます。他の映画化されたマーベルコミックも同様なのですが、娯楽作品としてだけではなく、ヒーローの内面にも入り込んだ作品が多く、21世紀の娯楽映画の変化が楽しめます。今作品でも民主主義を強調する大統領などは言葉のマジックを感じさせて痛快でした。
1作目、2作目は政府の法案に対するミュータントの戦いが描かれていましたが、3作目ではミュータントを無力化・人間化する新薬“キュア”が開発されたこと。蔑まれてきたミュータントの希望者だけに与えるのならともかく、かなり強引なやり方に憤りを感じてしまい、マグニートーとチャールズとの考えもどちらが正しいのかわからなくなってしまいます。もちろん暴力によらず平和的交渉による解決を求めるウルヴァリン側を正しいように描いていますが、戦いが激しすぎると感覚が麻痺してしまいそうです。
ストーリーに一つだけ苦言を呈するならば、シリーズ全体に言えるのかもしれませんが、アメリカ国防省や大統領ならば絶対にミュータントたちを秘密兵器として利用しますよね・・・普通の人間になんて治しませんってば・・・