宇宙戦争のレビュー・感想・評価
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スタイリッシュ古典メカ。
スッキリしない
凄すぎる完成度なのに‥‥
素晴しい大傑作
インディペンデンス・デイなどで描かれた
「ヒーローが巨大な悪に戦いを挑む」
というわかりやすい構図からは完全に逸脱している。
H.G.ウェルズによる原作小説の持つエネルギーを、
SF映画の巨匠・スピルバーグ監督が高いレベルで映像化して見せた。
主人公は地球人の代表である、ごく平均的なおっさん。
彼は何もしない。
ただ火星人の間近にいて、始まりと終りを目の当たりにしつつ
生き延びて怪我もなかったというだけの、無力で幸運な傍観者。
トム・クルーズの演技は、観客に対する一切の媚びを捨てて、
大災害を乗り越えた人の有り様を表現しているようだ。
この映画の根底には徹底したリアリズムが土台としてあり、
イカサマ的なヒーローはどこにも存在しない。
主人公にできるのは、そして全人類に許されたのは、
ただひたすら逃げることだけ。
その力の差の前には、「宇宙戦争」という題名ながら
一切の戦争は存在せず、観客に対して
まず第一の罠を仕掛けることに成功している。
巨大な生物のように滑らかに動く火星人のパワードスーツ、
「トライポッド」から見ると人類なぞはまるで知的生命体には見えない。
何しろ対等ではない存在なのだから。
彼らは地球人に対して戦争どころか偵察すらせず、
間引き、観察し、採集し、調査を進める。
ここで観客の中には
「あれ?戦争なんだから火星人はもうちょっとマジメにやれよ」
と思う人も多いだろう。
しかし彼らに戦争をしているつもりがあるだろうか?
一方、地球人にわかるのは
「火星人はでかいしサーチライトを使っているし、
たぶん狭くて暗い所にいた方がつかまりにくいんじゃないかな」
ということぐらい。
だから誰もが必死に穴の奥へ隠れ潜み、夜の闇に紛れてまた逃げる。
そして自ら通信手段を失い、奇妙な噂話に翻弄され狂気へと駆り立てられていく。
ストーリーが進むにつれて人はバラバラになり、
人類社会という巨大なシステムは分断されますます無力化していく。
そこに描かれているのは敗北ですらない、まるで消毒された害虫の戯画。
さらに火星人は火星の植物を地球で繁殖させようと実験を始める。
彼らの目的は「惑星火星化(マーズ・フォーミング)」だったのだ!
ここでようやくトライポッドの正体が明らかになる。
あの強力なロボットは戦闘兵器ではなく、
なんと惑星改造用機械だった!
(この辺りは原作に詳しく書いてあります。読んでみてね面白いから。)
しかし火星人は、彼らにとっては全く謎の原因によって死滅してしまう。
それは地球人にはごくありふれた害の無いものだったのだが、
火星人にとっては未知の障害であった。
最終的に彼らはいともあっけなく、まるで馬鹿みたいにコロリと参ってしまう。
そう、私たちは「ささいで無害なもの」だと思ってしまいがちだ。
だが真実は「地球生物の、脅威的な汚染力 & それを上回る怪物的な抵抗力」に
普段のわれわれが気付いていないだけなのだ。
そこに描かれていたのは「人類社会と火星人兵器の戦争」ではなく、
「地球生態系と火星生態系の生存競争」。
地球人だの火星人だのなんてみみっちいレベルを遥かに越えた、
この星に住まう全生命が己の命運を賭けて戦う、宇宙レベルでの大戦争。
まさに "The War of the Worlds" なのだ。
そういった数々のトリックに気付かない観客は
「あれ?間抜けな侵略者に負けたと思ったら敵が勝手に死んだぞ?駄作か!?」
と騒いでいる。
その、自分には理解できないものに悩んで腹を立てている様子は、
まるで火星のトライポッドに襲われる人類か、謎の猛毒に苦しむ火星人のようだ。
そんな人を見るたびに
「ああ、やはりウェルズは天才であった」
と思わずにはいられない。
あとはダコタちゃん。
かわいいけどうるさいね。
豪華どころが揃っていてもけっこうな駄作
総合:30点
ストーリー: 25
キャスト: 65
演出: 50
ビジュアル: 65
音楽: 60
うーん、くだらない物語だ。とても21世紀の映画とは思えないすごい古臭い物語だと思ったら、原作は本当に古い話だったようで、しかも映画のほうもリメイクだったようです。宇宙人もしょぼくてくだらないし、なんの力もない個人に焦点が当たっているのもつまらない。だからその個人が物語の結末に影響がないのも仕方がない。
新しい作品だけあって映像技術などはいいのだろうが、それでも登場するもののデザインがやはり古臭い。地下室に人がいるかどうか確認のために敵の目が侵入してくる場面なんかでも、こんなに大きくて相手に発見してくださいと言わんばかりの偵察隊なんか普通いないよというデザインでかなり白ける。
まだ映画全体の質の低かった昔ならとにかく、現代の有名どころが作ってるのに、それでもこれほどの作品が出来ちゃうんだというかなり標準以下の駄作でした。こんな古い物語を古いデザインで21世紀にリメイクする必要があったのだろうか。スピルバーグってこういう内容の無いくだらないものがけっこう得意だと思います。似たような作品でメル・ギブソンの「サイン」というのがありますが、これでもそれよりは多少ましという程度です。
スピルバーグ、不覚の不発弾
モーガン・フリーマンによるナレーションで始まるプロローグは古典SFっぽい雰囲気で、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」をどう見せてくれるのだろうと期待が膨らむ。
「未知との遭遇」や「E.T.」といった人類に友好的な異星人との交流を描いた作品を送り出してきたスピルバーグが、宇宙侵略ものを手がけたのも興味深い。
太古から地球に埋められていたという攻撃機トライポッドのデザインが、むかし想像されていた火星人の姿に似ているところはSFファンとしてはニンマリするところだ。
この作品のトム・クルーズは、いつものスーパーマン的ヒーローではない。妻に離婚され、子供達からは軽んじられるダメ親父だ。そんな彼が子供たちを守ろうと必死に行動し始める。
だがトライポッドの威力は凄まじく、軍の攻撃も歯がたたない。世界のどこにもヤツらの攻撃を逃れる場所はなくなっていく。
さらに墜落したジャンボ旅客機や町の掲示板に貼られた無数の人探しの張り紙などが9.11の同時多発テロを連想させ、世界の混乱のピークを容赦なく描いていく。
ここまでは、その圧倒的な破壊力をスピルバーグらしいスピーディーな演出で突きつけられ、ILMによるVFXもそれに応えた映像を造り上げている。
ところが、この先が一向に盛り上がらない。
世界中が襲われていると言いながら描かれるのは特定の地域だけで、徐々にそのスケール感が貧弱なことに気がつく。
途中で現れるティム・ロビンス演じる農夫の怪しさも中途半端に終わり、最初にレイが落雷の現場で拾ったものもこれといった意味を持たない。拾ったものがヤツらにとって大事なもので、それを追って襲ってくるのかと思って見ていたのだが、それも意味不明のまま終わってしまう。反撃の切り札になぞなるべくもない。
おまけに、まさかのあっけないラスト。プロローグに伏線があったとはいえ、なんとも拍子抜けで素っ気ない。
貧弱でお粗末な脚本だ。
スピルバーグらしからぬ不覚の一作というしかない。
今にしてみれば、宇宙侵略モノは、このあと「スカイライン -征服-」(2010・監督:ストラウス兄弟)がただのモノマネで失敗を重ね、「世界侵略: ロサンゼルス決戦」(2011・監督:ジョナサン・リーベスマン)でやっと満足できる作品になる。
紙一重の名(迷)作じゃないでしょうか
2005年アメリカ映画。117分。2011年27本目の作品。かねてから悪評高かったスピルバーグ&トム・クルーズによるリメイク版。TUTAYAで100円レンタルしました。
内容は:
1,主人公の男は離婚した妻との間の2人の子供を週末預かることになる。
2,宇宙人が地球を襲来する。
3,男は子供をつれてひたすら逃げる。
「プライベートライアン」を彷彿とさせるゲリラ戦的な映像といい、フェリーニを思わせる研ぎ澄まされた映像感覚といい、ハッとひらめくような演出といい、そして最後のやっちまった的なエンディングといい本作はスピルバーグらしさが十分すぎるほど発揮されています。
それでもたくさんの人が怒ったのは、あのラストで見せた急にやる気のなくなった展開&演出と、たぶんちょっぴりのスピルバーグへのやっかみではないでしょうか。
スピルバーグの演出はインスピレーションそのものだと思う。絵コンテを使用せず、早撮りで有名な彼の映像美はストーリーラインとは関係なくちょっとしたところでハッとさせられます。だから、本作の破綻してるストーリーは彼でなければもっと駄作だったと思います。
あのラストには、原作のメッセージ性を尊重した故に収集がつかなくなり、半ばやけくそだった現場の苦労ぶりが伝わり、これはこれでニンマリした。個人的にはあのトホホなラストはOKです。
それにしても、トム・クルーズは駄目男がぴったりですね。
確かに怖かった
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