「無垢な人々の行動は、 とても直接的で子供じみている」ヴィレッジ(2004) Teiranさんの映画レビュー(感想・評価)
無垢な人々の行動は、 とても直接的で子供じみている
いきなりネタばらしですが、
「怪物」は、「町」で辛い思いをした
村の年長者達が、「村」を、
無垢な人々が住む心地よい隔離された世界に
する為にでっちあげたもので、
驚愕の真実というほどインパクトのない設定
時々こういう閉鎖的な世界設定の作品
見かけます
差別がなく悪意のない人々の、
純粋な心だけが育まれるように
作られた村
だけど、そこには
「怪物という、作られた恐怖」があり、
矛盾がある
アイヴィーの想い人ルシアスへの、
アイヴィーの姉キティの愛の告白シーンが
唐突(「愛してるわ!」)だったり
ノアの幼馴染アイヴィーへの想いが、
愛ではなく、子供が何かに
執着するような感情だったり
障害者で、この村である意味最も
無垢であるノアが、ルシアスに嫉妬して
ルシアスの作ったナイフでメッタ刺しにしたり・・・
無垢な人々の行動は、
とても直接的で子供じみている
平和な世界を、
村を外界から隔離してまで人為的に
作ったのに、その中で
殺人が行われようとしている
そして傷ついて感染症にかかった
ルシアスを助けるための
薬を手に入れるために、
盲人のアイヴィーがひとりで村に
とってのタブーである「町」に
向かわされる
村の年長者達だけが知っている
(アイヴィーも知ることになりますが)
偽物の怪物の存在が、ノアの行動によって、
現実のものとなってしまうという皮肉
村が否定した、「町」の警備員が、
村の住人アイヴィーの
願いを聞き入れ助けるという皮肉
何よりも、ヒロイン・アイヴィーが
「目あきのめくら」という設定が
この村の抱える矛盾を象徴している
監督による脚本は、
細かい所でツッコミどころ満載なのですが
いろいろツッコミつつも、思う
無垢である事はイコール善とは限らないし、
恐怖によって隔離された理想郷でも
「町」と同じように犯罪は起きる
それを隠蔽しようとする年長者達
でも、
いつか「作られた楽園」は、壊れる
という
気配が忍び寄るラスト
・・・監督が恐らくやりたかった事を
成立させる為に、
脚本はご都合主義的色合いが濃いのですが、
キャスティングも役者の演技も良かったし
「シックス・センス」ほどではないけれど
なかなか面白い映画でした