劇場公開日 2001年11月3日

「【行き過ぎた愛国者達の思想と行動を、物凄いアクションシーンの数々と製作者サイドの観客を”思い込ませる”演出で描いた作品。ラストシーンの解釈は見る側に委ねられます。】」ソードフィッシュ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【行き過ぎた愛国者達の思想と行動を、物凄いアクションシーンの数々と製作者サイドの観客を”思い込ませる”演出で描いた作品。ラストシーンの解釈は見る側に委ねられます。】

2024年12月10日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

興奮

知的

難しい

■FBIのロバーツ捜査官((ドン・チードル)に捕まるまで、天才ハッカーと呼ばれたスタンリー(ヒュー・ジャックマン)の元へ、ジンジャー(ハル・ベリー)と名乗る黒人美女が現れる。
 DEA(麻薬取締局)の極秘作戦「ソードフィッシュ」の”残金”が利息により95万ドルに増えた資金を、コンピューター操作で奪う作戦に協力してほしいと依頼してくる。
 彼女を指揮していたガブリエル・シラー(ジョン・トラヴォルタ)が、全てを指揮する男である。
 高額の報酬と引き換えに、愛娘と暮らすためにスタンリーは計画に加わる。

◆感想<Caution!内容に触れています。>

・冒頭、ガブリエル・シラーが、ハリウッドの映画製作方法や”思い込み”について、挑発的に喋りかける。それを聴いた男が”観客はハッピーエンドを望んでいる。”と答えるとシラーは”事実は小説より奇なり。”と言って葉巻を吹かすのである。
 その後、過ぎにシーンは彼らが物凄い爆薬を人質に取り付け、銀行強盗をするシーンが映されるが、この大爆発シーンがマア、凄いのである。

・ガブリエル・シラーは”国を守るためには、多少の犠牲は仕方がない。”と言いながら、スタンリーにDEAの資金を、ハッキングで奪わせようとするが、スタンリーは彼の行き過ぎた愛国心を拒絶し、彼が逃げるヘリを、ロケットランチャーで撃ち落とすのである。

■今作では、劇中に"思い込み”という言葉が頻繁に出る。その通りにストーリー展開は観る側を、翻弄するかの如き、ガブリエル・シラーにより射殺されたはずのジンジャーが最終盤に登場し、奪った資金全額を”複数の口座”に振り込むように銀行窓口で依頼し、その後向かったボートには、死んだ筈のガブリエル・シラーが待っており、二人はボートで大型客船に向かうが、その大型客船は爆発し、”ビン・ハザード”という大物テロリストが殺されました。”というニュース音声が流れるのである。

<今作を、行き過ぎた愛国者達の思想と行動を描いた映画と捉えるかどうかは観る側に、委ねられている。
 だが、今作の公開日は2001年11月3日であり、ニュースで流れた”ビン・ハザード”から想起されるビン・ラディンが起こした米国同時テロは2001年9月1日である。
 故にラストシーンの解釈も、観る側に委ねられるのである。
 私は、解釈を委ねられる映画は好きなので問題ないが、ハッキリとした結末を求める方には今作は、モヤモヤしたモノが残るかもしれないな、と思った作品である。>

NOBU