「今後どうしようかねえ~と考えたんだろうなと思うと止まらない映画」バニラ・スカイ しんざんさんの映画レビュー(感想・評価)
今後どうしようかねえ~と考えたんだろうなと思うと止まらない映画
彼の人の良さなのか、単なる嫌味なのか、オスカーにそっぽ向かれた腹いせなのか、当時初めて劇場で見たとき、物語以上に不思議な思いをした記憶があった。
もちろん「顔をつぶす」ということにだ。
映画の中では、最初「顔が崩れた」=「人生終わった」みたいな進み方をするので、そりゃいくらなんでも嫌味だろ~というふうに取れる。
「7月4日に生まれて」でオスカーとれず、
「足だけじゃ不満なのかい?ハゲヒゲじゃだめかい?ペ○ス連呼でもダメ?じゃ顔をつぶして勝負してやるぜ!」と考えたのかもしれない。
彼の役である、デビッドは普通の顔のとき、あの顔でお金持ちていうんだから、まさしく「彼そのもの」。
あれだけの顔が、事故により醜くなり、そのショックは計り知れないものがある。
しかし映画の最後のほうで、醜い姿でいいから現実を生きたい、とダイブする。夢の中で生きることを止めるのだ。
これはこれから老いていくトム自身の決意表明なのかもしれない。これから老いて顔は醜くなるかもしれないけど、リアルに生きると。
しかしちょっとまった。
この映画は最後の最後まで「夢オチ」なのだ。ダイブを信じてはいけない。
トムは果たして醜くなっても「スター」でいることに決意したのか?醜くなることを拒否したのか?顔が崩れること自体を夢オチにしたのか?
今のところ、トム・クルーズはにしきのあきらではなく、郷ひろみ、といったところ。
たぶん本人の思い通りなのだろうな。
ほか
キャメロン・クロウはトムのわがままに付き合わされた感が強い。オリジナル「オープン・ユア・アイズ」まんまのシーンばかりで、ややキャリアに影を落としてしまった感がある。
オープニングとラストはとても綺麗。デビッドがジュージ・ハリスン好きっていうのはナシでしょ?