チーム★アメリカ ワールドポリス : 映画評論・批評
2005年7月26日更新
2005年7月30日よりシネ・リーブル池袋ほかにてロードショー
トレイ&マットがブッシュ・アメリカに屁を放つ
しょせんこの世のドタバタなんて、何者かの見えざる手に操られ踊らされてるだけ……って洒落だろうか。「サウスパーク」のトレイ&マットが、切り紙風CGからマリオネーションに鞍替えし、ブッシュ・アメリカに屁を放つ。
といって大統領は登場しないが、“世界警察”を名乗って恥じない「チーム・アメリカ」が肩代わりだ。これは資本家の息がかかった巨大自警団(まさしく「サンダーバード」!)で、女性の姿も一応あるものの、その父権主義的なマッチョイズムまで下品に茶化されるのは苦笑い。彼らの宿敵は映画マニアのジョンイル君、こちらは紛れもないそっくりさんだけどキャラは本作ぶっちぎり。独裁者の悲哀をハリウッド・ミュージカルばりに歌いのけるのも困った洒落だ。
つまりこの映画、敵対勢力の双方をコケにする。さらにイラク派兵に反対したリベラル気取りの超有名俳優たちもスプラッターに皆殺し。かと思えばマイケル・ベイ映画の下らなさや紋切り型の表現をも無邪気にネタにする。
あらかじめ高尚な旗印を掲げた体制批判は、ミイラ取りがミイラになる危険性が強い。トレイ&マットはあえてチャランポランに徹し、ハリウッドの凡庸をあげつらうのと同じ次元で、深刻さを煽るばかりの世界情勢も嗤いとばそうというわけである。でも、つい本気になっちゃうのが彼等らしいところなのだが。
(ミルクマン斉藤)