劇場公開日 2005年10月8日

「本作は遠目に見ればトッガンマーベリックの次回作の雛型になりえます」ステルス あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0本作は遠目に見ればトッガンマーベリックの次回作の雛型になりえます

2025年2月15日
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鑑賞方法:VOD

ステルス
2005年米国映画
真面目に観たら負け
雰囲気で楽しむ映画です
軍オタですが、真面目に取り上げる気にもなりません
今から20年も昔の映画
今のF-22 やF-35 といった第5世代のステルス戦闘機の実物が完成し始めた頃
音声認識ですらまだスマホで始まった頃のこと
AI とか無人戦闘機とかは20年も30年もしたら将来はこんなこともあるかも?という「僕の考えた最強戦闘機」の映画というしろものです
そう割り切って見始めたならそれなりに楽しめると思います
ところが本作に登場する最強戦闘機というのが20年経ってみるとあながち荒唐無稽でもなくなり、なんとまあGCAP という日本がイギリスイタリアと共同開発を進めている次期戦闘機になんとなくコンセプトが似てきてしまっているのです
それは第6世代戦闘機、有人戦闘機がAI の操縦する無人機戦闘機を率いて戦うなんてものが本当に実現しようしているんですから20年の年月は恐ろしいものです

冒頭、思いっきり開発背景は対テロだとテロップがでます
国対国のガチンコの戦争なんてもうありえないと頭から信じこんでいる無邪気な時代でした
ウクライナ戦争なんて想像すらされていなかったのです
終盤緊急脱出した女性操縦士を捜索して遠距離狙撃する北朝鮮軍が登場します
恐らくウクライナに派遣された暴風軍団と呼ばれる山岳特殊作戦部隊の隊員たちでしょう
彼らは派遣された1万2千名の三分の1がわずかひと月で死傷してしまうことになるのです
こんなことをつらつら考えながら本作を観ているとなんかもうこんなお気楽戦争アクション映画を心から楽しめる気分にもうなれなくなっている自分に気が付かされるのです
そもそも米国が西部劇のガンマンのように正義の味方として自由世界を守るという建前が崩れ去ろうとしているいま主人公達が正義の味方だと無邪気にみれないようになりつつあるのです
そうはいってもウクライナみたいにいざとなっても助けてくれないんでしょ?と
本作は遠目に見ればトッガンマーベリックの次回作の雛型になりえます
巨額の予算で全面的に作り直して、トムクルーズの超絶アクションを組み入れればかなりのものはできるでしょう
でもさきほどのべたような私達観客の側の心理状態がすっかり変わってしまっています
だからもう今までみたいな路線では大ヒットはもう難しくなってしまったように強く感じるのです
古くは、1980年のクリントイーストウッド主演のファイヤーフォックスに始まるこのジャンルももはやお仕舞いなのかも知れません

あき240