「私のもっとも嫌いなタイプの映画です。」ステルス よしさんの映画レビュー(感想・評価)
私のもっとも嫌いなタイプの映画です。
AIを積んだステルス戦闘機が暴走し、それに巻き込まれたステルス小隊の戦いを描きます。
ドッグファイトは流石の迫力でした。
でも、それだけ。評点としてはマイナスを付けられないのが残念なレベルです。
まず、ストーリーがご都合主義で場当たり的。AIの暴走って主題は良いとして、それ以外が滅茶苦茶。
タジキスタンで離脱したステルスが墜落したのは、何故か北朝鮮。
プロジェクトの失敗を隠すべくアラスカにイリーガルな部隊がいきなり現れ、主人公暗殺を試みます。ところが、感情に目覚めたAIが主人公と共に脱出し、北朝鮮に女性パイロット救出に向かうドラゴンボール展開。
小学生向けでももう少しやりようがあったと思うレベル。
それ以上に不愉快に感じたのが、アメリカファースト主義の徹底。他国の主権って何?って思想がてんこ盛りなところ。
ネパールの首都でビルを爆破崩壊(「市民に死傷者ありません!!」って、なぜ分かる?)、タイでは、アメリカ人が声を掛ければ現地女性はホイホイと付いてきて、タジキスタンでは現地数千の市民の危険を顧みず作戦を実行(主人公は反対するアリバイ作り)、ロシア領空に勝手に侵入してスクランブル発進したロシア機3機撃墜(脱出もさせない)。
北朝鮮でも滅茶苦茶です。北朝鮮上空でステルスが爆発墜落しても現地の被害は欠片も気にせず(横浜米軍機墜落事故って知りませんか?)、サブマシンガンで武装した正体不明の人物(墜落機の操縦者)を捜索した北朝鮮軍をミサイルやランチャーで吹き飛ばす。あまつさえ、AIステルスが突っ込んだ北朝鮮軍のヘリには人間が搭乗していたのに、自我を持った「AI可哀想」ってオチ。
北朝鮮は、当然嫌いな国だけど、この映画では悪い事何もしていないはず。当然の権利と義務で捜索逮捕しようとしただけ。それを殺しまくる戦いが正当化されるおぞましさ。
ハリウッドに限らず日本でも他の国でも、自国ファースト、自国カッコ良いって話になり易いのは事実だと思うけど、これはやり過ぎだと思います。