恋愛適齢期 : インタビュー
ダイアン・キートン インタビュー
「『恋愛適齢期』は大きなプレゼントよ。人生が救われたような気持ちがしたわ」 森山京子
残念ながら受賞は逃したものの、「恋愛適齢期」で4度目のアカデミー主演女優賞にノミネートされたダイアン・キートン。このキャリアはもう大女優の貫録だが、御本人はいたってカジュアルで軽やか。映画の中と同じ、タートルネックのセーターで颯爽とインタビューに登場だ。
「この映画では、私の世代がまだ可能性のある、活き活きとしたものとして描かれているでしょ。スリルを感じたり、惨めになたり、おかしかったり……そういう生きて呼吸している世代として描かれることで、50代以上のみんなに、元気を与えてくれる作品になったと思うわ。私たちもそんなに捨てたものじゃないわ、ってね」
ダイアンと「恋愛適齢期」の関わりは、数年前に監督のナンシー・メイヤーズにランチに招待されたときに始まった。
「ナンシーはね、“今から、中年の女性が初めて恋に落ちる映画の脚本を書くつもり。その役はあなたに、相手役はジャック・ニコルソンにやってほしい”って言うの。だから、“それは良かったわね。じゃあ製作が決まったら電話してね”って答えたの(笑)。だって、どうなるやら先が見えなかったのよ、その時は。でも、彼女は見事にやったわ。ナンシーはスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンの作品に影響されていて、ロマンチック・コメディというジャンルを愛しているのよ。ユーモアを書くのが抜群に上手よね。この映画では即興は一切ないのよ。全部脚本にあるの。“and”も“but”も、“ええと、あ、そう”も(笑)。すべて書かれている通りよ」
「アニー・ホール」以来、コメディに強い人のイメージがあるダイアンだが、それは意識して作ってきたものではないと言う。
「演劇学校の頃はシリアスな女優をめざしていたのに、蓋を開けてみたらシリアスな役どころには、うまくはまりきることができなかったのよ。私ってちょっと変わっているみたい。ドラマチックで深刻な芝居をしていても、どこかファニーな面が背中にくっついていて、笑えるって言われるのよ。ファニーでありながらシリアスでもあるっていう、奇妙なバランス芸にぴったりはまっちゃったのね」
そんな微妙なニュアンスを表現できるダイアンでも、ジャック・ニコルソンは自分とは格が違うと、最大級の賛辞を送る。
「ジャックは天才よ。私は正確にやろうとするタイプで、家でちゃんと勉強してくるんだけど、彼はその場ですぐにできちゃうの。技術的に私より数億倍も優れているわ。本当にファニーだし、本気でおかしかった。名人よ。キアヌは可愛かったわ! 愛らしい人よ。でも、私自身は、年下の恋人には何の興味もないわ(笑)」
自分のキャリアのハイライトは「アニー・ホール」。だからウッディ・アレンにはいつも感謝していると言うダイアン。
「『恋愛適齢期』は、それに次ぐ大きなプレゼントよ。人生が救われたような気持ちがしたわ」
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