「簡単に答えを出せる話ではない」海を飛ぶ夢 h.h.atsuさんの映画レビュー(感想・評価)
簡単に答えを出せる話ではない
先日、難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件がセンセーショナルに報道された。「安楽死」や「尊厳死」を考えるきっかけになった人も多いと思う。
この世で唯一絶対なものは、「死」は誰にでも必ず訪れ、決して抗うことはできないということ。その死に対して、自ら意思決定する「権利」はあるのか。
この問いに対し、絶対解はないし、一般化(抽象化)して議論すべきでないし、簡単に答えを出すべきではない。
「人生には生きる価値がある」なんて他人の押し付けがましい意見だ。
主人公ラモンに対して「あなたの考えは間違っている」と安易に非難する権利は私たちにあるのか。
生きる権利があるように、死ぬ権利は存在するのか。
本人の意思も大事。が、家族の悲しみは如何ばかりかと思いもめぐる。
テーマは重いが、決して絶望的な内容ではなく、人間の尊厳と自由を問う作品で、答えは一人ひとりが見つけていくもの。
コメントする