「逆さまになっても上からモノが落ちてくるんですよ」ポセイドン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)
逆さまになっても上からモノが落ちてくるんですよ
心臓に悪いかと思えるほど緊迫感の連続。とにかく休む暇がない。オリジナル『ポセイドン・アドベンチャー』は劇場で2回観たほど好きだったのですが、この緊張感はそれと全く別物であるかのような体感ディザスター・ムービーでした。そういえば、オリジナルでは少年が逆さまのトイレに入って笑いを取ってしまうほどの余裕があったのに・・・
『夢駆ける馬ドリーマー』でカート・ラッセルの娘思いの父親を見たばかりだったので、この『ポセイドン』でも父親像がダブってしまいました。同じく騎手で出演していたフレディ・ロドリゲスも脱出グループに同行することになるのですが、彼は“map”と呼ばれるほど豪華客船内に精通していたこともあって、元消防士で元NY市長のカート・ラッセルとここでもいいコンビになるかと思っていたら・・・あ、やられちゃったよ・・・でした。
また、オリジナルと比べると、グループ内の人間関係、葛藤が感じられないのですが、食い違った意見をまとめる余裕なんてないほど次から次へと襲いかかるピンチ。自・殺マニアのような爺さん(リチャード・ドレイファス)がマップの手を振りほどいてしまったという罪悪感も感じるヒマがない。ましてや彼を慕ってきたエレナ(ミア・マレストロ)も死なせてしまったことも運命のいたずらなんだと感じるヒマがありません。水中での苦しさに感情などマヒしたに違いありません。
配役の点でもオリジナルとつい比較してしまいがちなのですが、オスカー助演女優賞候補太った水泳おばさん(シェリー・ウィンタース)のキャラがいないことが残念ですし、アーネスト・ボーグナインとジョシュ・ルーカスが同じ役割だと考えるとどうも納得できません。そして、元市長とかギャンブラーという設定が何も生かされてないし、むしろカート・ラッセルの5のワンペアで勝負するポーカーフェイスが伏線となっていただけでした。
多少の不満はあるもののリアルなCGと海洋映画を得意とする監督のおかげで、息がつまりそうになるほど楽しめる映画でした。