「邦画新時代の代表的な一本」ピンポン CRAFT BOXさんの映画レビュー(感想・評価)
邦画新時代の代表的な一本
松本大洋のマンガ原作を映画化した本作。原作連載時から読んでいたので、劇場公開されると聞いた当初、あまり来たいは出来なかったのだが、蓋を開けてみると実に良く出来ていて、その評価は公開から10年以上経った今でも変わらない。
まず、脚本構成が良い。宮藤官九郎は、オリジナル脚本作品や自分で演出する感んと臭く貧になると、終盤に突然投げ出すかのような展開を見せるが、本作の前年に公開された『GO』なども同じように、原作のある作品の脚本・脚色だとしっかりと自分の味を出しながら、原作の良さを整理して脚本構成する。
また、窪塚洋介とARATAの2人が、役者として最も旬だった時期に本作が出来たのも幸運だった。2人とも、役を良く理解して自分のモノにしている。とくに窪塚洋介は、この作品から数年後には癖のある演技が行き過ぎてしまって復活まで時間を要したが、本作と前後して、『GO』『ピンポン』『ランドリー』などの作品では、実に素晴らしい時期だった。
さらに、VFXの使い方が素晴らしい。2000年を前後して、CG技術の発達の伴い、日本映画も上手くかつ効果的にVFXを映画に取り入れられるようになったきた。邦画界の新しい芽が、この時期に作られていったが、本作はそんな邦画新時代の代表的な一本と言える。
秀逸な青春ドラマの一本だと思う。
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