「種まきは続いている」ペイ・フォワード 可能の王国 xmasrose3105さんの映画レビュー(感想・評価)
種まきは続いている
遅まきながらの鑑賞。キャスティングが見事はまっていて、すんなり観れます。まさかのボン・ジョビさんまでご出演だったとは。サプライズ。
社会は変えられるか。
新学期に社会科の先生が、中1のクラスに課題を出す。1年間かけて、自分で何か考えてアクションを起こしてみて、と。主人公のトレバー君が言うように、ほんとに「この世はクソ」です。ほぼ母子家庭の一人っ子、鬱屈した思いを抱えてる。でも彼はやってみることにした。
そして、どうなったか。
きょうも世界のどこかで、小さな優しさの種をまいている人はいると思います。
失望や絶望だけじゃないよと、私も思いたい。
だって希望がないと、クソみたいな世の中を生きていけないから。
変わらない人もいれば、変わる人もいる。
変わりたくなければ、変わらないし。
変わりたいと思っても、そうそう変われないってこともある。
でも変えたいと思わなきゃ、何も始まらない。
それでもやっぱり失敗して、その度に落ち込む。
人間は、弱いから。
臆病で、面倒で、不安で怖いし。
この世には、支配欲が生きがいの人もそこそこの割合でいて、そういう支配者は偽の愛情や偽のリーダーシップで人を牛耳ることも多い。だから家庭内が支配者の欲望を満たす場になっていたりする。
職場も学校も同様だ。
DV、パワハラ、モラハラ、セクハラ、スクールカースト、ママカースト...etc。支配される者の抑圧と失望をベースに作られていることは珍しくない。
課題を出した先生にも、辛い過去がある。
おいそれとは人に話せないくらいの。
自分に殻を作り守っている。
でも希望がないと、生きていけないこともわかっている。
だから教師をやっている。
だけど先生が生徒から、大人が子供から、
大事なことを教えてもらうことだってある。
ペイ・フォワードは、種を蒔いても、いつ芽が出るのかわからないし、芽は出ないかも。
そんな不確かなもの。
ユートピアか!って突っ込み入れられて、「それって、理想的ってこと?」
理想的って、いけないの?というトレバー君の純粋なきり返しが、最高にいけてる。
人には必ずいつか死が訪れます。
それまでにどれくらい種を蒔けるだろうか。
花が咲くのも実が成るのも、この目では見れないかもしれない。でもたくさん種を蒔けたら、死ぬ時少しだけ安心した気持ちで逝けるような気がします。