ペイ・フォワード 可能の王国 : インタビュー
「シックス・センス」の演技で弱冠11歳でアカデミー賞にノミネートされたハーレイ・ジョエル・オスメント、「アメリカン・ビューティー」で見事アカデミー主演男優賞に輝いたケビン・スペイシー、「恋愛小説家」でアカデミー賞に輝いたヘレン・ハント。この豪華キャスト陣に加え、受けた好意を他人に贈る“ペイ・フォワード”という行動に焦点を当てた発想の面白さが話題の本作。今回の特集では、ハーレイ少年とケビン・スペイシーのインタビューをお届けしよう。
ハーレイ・ジョエル・オスメント インタビュー
杉谷伸子
「役作りは、常にチャレンジなんだ」
「演じるときは、自分と役の共通点を探すんだ。世の中の“よくない部分”に接しがちな環境にあるトレバーは、僕と共通点が少なくて、とても難しい役だった。でも、どの作品でも役作りはチャレンジ。演じることが大好きだから、そのチャレンジも楽しいよ」
プロフェッショナルな態度と誠実な受け答えで感心させる子役は少なくないけど、やっぱりハーレイ君は別格。「自分の手で世界を変える」という宿題に「ペイ・フォワード」なるアイディアを考えたトレバーについても、洞察力は大人顔負けなんである。
「彼との共通点は、“まだ、世の中にはいいこともある”というオプティミズム。なぜって、“ペイ・フォワード”は、自分が行った“よいこと”を、受けた相手が他の人にもしてくれるという信頼があって初めて継続していくものだから。同じ宿題が出たら、僕も同じことを考えるんじゃないかな。そして、トレバーのように、ひとつのムーブメントまで持っていければいいな」
憂い顔のトレバーがTVでプロレス観戦するときに、大きなクッションを対戦相手に見立てて大暴れする熱狂シーンには、実生活の経験もいかされてます。
「プロレスにはそんなに興味ないんだけど、バスケットボールとかアメフトとか、スポーツは大好き! あんなに興奮した瞬間があったかなと考えて、ダディとアメフトのプレイオフ中継を見たときを思いだしたんだ。そのとき感じた興奮をシーンにいかしたんだよ」
質問によっては父親をファーザーと呼ぶこともあるのに、ここではダディと言ったのも、当時の興奮が蘇ったからかも。俳優である父親は、出演作選びにおいてもハーレイ君がもっとも信頼する人物。「必ず一緒に脚本を読むけど、意見がものすごく食い違ったことはない」とか。その父親は「なるべくR指定の映画を見せないで、純粋な子供の気持ちを保ってほしい」とおっしゃるが、ハーレイ君は“おそるべき子役”と呼ばれるのにうんざりして、早く大人になりたいと思ったりしない?
「普通の12歳よりいろんな経験をしてるから、みんなより成長が早い部分もあるかもしれないけど、やっぱり、僕はまだ12歳の男の子なんだ。むしろ、そんなに早く大人になりたくない。どうせ大人になるんだから、なるべく長く子供時代を味わいたいな(笑)」
そんな年相応な一面、ちゃんと撮影現場でも見せてました。
「みんなはトレーラーから撮影場所へゴルフカートで移動してたんだけど、僕は学校シーン用に準備されてた自転車を使わせてもらってた。必死に漕いで、ゴルフカートとどっちが先につくか競争するのが楽しかったよ。その愛車には『ペイ・フォワード』のステッカーとかをいっぱい貼って、フォワード・モビルと呼んでたんだ」
確かに、そのへんは普通の男の子。ちょっと安心したりして。
ケビン・スペイシー インタビュー