「【”お前も蝋人形にしてやろうか!”熱帯夜にはヤッパリホラー映画だね!等と思って軽ーい気持ちで観ていたら、今作無茶苦茶面白怖いじゃない!ドンドン加速する残酷シーンの数々にも戦慄する作品である。】」蝋人形の館 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”お前も蝋人形にしてやろうか!”熱帯夜にはヤッパリホラー映画だね!等と思って軽ーい気持ちで観ていたら、今作無茶苦茶面白怖いじゃない!ドンドン加速する残酷シーンの数々にも戦慄する作品である。】
ー ご存じのように、今作の監督ジャウム・コレット=セラは、リーアム・ニーソンとタッグを組んだ数々の秀作アクション映画で名を馳せているが、まさか初期に今作の様な優れたるリメイクホラーを手掛けていたとは、知らなかったなあ。けれど、「エスター」も手掛けていたもんなあ。ー
■大学フットボールの試合を観戦しようと6人の若者、カーリーとウェイドのカップル、カーリーの不良っぽい兄貴ニック、ドールトン、ペイジ(パリス・ヒルトン)、ブレイクがスタジアムを目指す途中、キャンプをして一泊すると、翌朝車は誰かの仕業でファンベルトが盗まれており走行不能におりなっている。
声を掛けてくれた動物の死骸を運ぶ不気味なレスターという男に近くの町アンブローズまで車で送ってもらうのだが、そこは異様な静けさに包まれていた。
◆感想<Caution!内容に触れています!>
・序盤は、おバカな若者6人がヤラレちゃうホラーかなあ、などと余裕で鑑賞。だが、彼らが泊まったキャンプ地に漂う悪臭のシーンと、不気味なレスターという男が登場する辺りから不穏感が漂い始め、徐々に尋常でない世界が展開されていくのである。
・カーリーとウェイドのカップルが、案内された町で教会を訪れるシーン。出て来た男は最初は愛想が無く怒ったように二人を追い出すが、その後二人を追い掛けて来て葬儀が終わるまで待つように言って来る。
ー その葬儀の際の、棺の中に横たわっていた老いた女性の死体・・。-
・そして、二人は町の中の古びた蝋人形の館を見学するのだが、妙に蝋人形がリアルである。そして男ボーが徐々に表してくる狂気の姿が怖すぎる。
■カーリーとウェイドのカップルを執拗に追い掛けるボーとスケキヨの如き面を被ったビンセントとボーに呼ばれる謎の男。
ウェイドは囚われ、椅子に座らされ蝋を全身に吹き付けられて行くシーンや、地下に閉じこめられたカーリーが地上に指を出した時に、それをちょん切るボー。更にニックとドールトンも助けに来るが、ドールトンはビンセントに鋏で首を切断される。
更に、キャンプ地に残っていたペイジとブレイクも、ビンセントに惨殺されるのである。それにしても、パリス・ヒルトンは何故にあの悲惨な最期を遂げる役を引き受けたのだろうか・・。
・徐々に明らかになる町の、本当の姿。狂ったベティ・デイヴィスのドアップが映し出される「何がジェーンに起こったか?」が上映されている映画館や教会にいた観客たちは皆、生きたまま蝋人形にされた人たちである事が分かって来るシーンは、実に気味が悪い。
蝋が剥がれると、腐った皮膚も剥がれ落ちるシーン・・。
■そして、”芸術家、トレイディ・シンクレア”の産んだ結合双生児の禍々しい写真と、ボーとビンセントとの関係性が分かって来るシーンは、戦慄である。
大怪我をしたカーリーとそれまで仲の悪かった兄ニックが協力して、ボーとビンセントに立ち向かい、蝋人形の館が炎に包まれて行くシーンの描き方も、実に禍々しい。流れ落ちる蝋の中から出て来る、蝋人形に生きたままされた人たちの姿。
<全てが終わり警察が来た時にカーリーとニックが警官達の交わす言葉”多数の車が見つかった。犯罪データを調べると(トレイディ・シンクレアの)息子は”3人”です。”と言う台詞からの、カーリーとニックが警察の車でアンブローズを去る時に、彼らを町に連れて来た不気味なレスターという男が車に腰掛け笑いながら手を振る姿も、イヤーなイヤーな後味である。
因みに、今作は劇中流れるゴシックメタル調の曲も効果的である。
”Joy Division”の陰鬱な縊死したボーカル、イアン・カーティスが歌う隠れた陰鬱な名曲”New Dawn Fade"等々・・。
今作は、猟奇ホラーの逸品なのである。>