「脚本SS俳優SS全部SS」パニック・ルーム 真中合歓さんの映画レビュー(感想・評価)
脚本SS俳優SS全部SS
20年前とは思えないクオリティで度肝を抜かれた。宇宙戦争やミッション・インポッシブル、サム・ライミ版ミスパイダーマンやジュラシックパークという名だたるもう全部面白いと言っても過言ではないほどの作品を担当していらっしゃる脚本家『デビッド・コープ』が送る、最高の密室パニックアクション。
終始緊迫感の有る演出は勿論、強盗側も魅力的で半分強盗マニュアル映画のように事細かい”強盗の技”も披露されていく。バーナム役のフォレスト・ウィテカーの隠しきれない良い奴感と残り二人のクソ野郎感。そして何より魅力的なジョディ・フォスターのパイオツ。この手のパニック系映画では100点満点とも言える作品でした。
いやあ~~~脚本も絵面も俳優さん方の演技も全部凄い!!映画ってやっぱ良い作品は色褪せないんだなあって思わされましたね。
舞台はニューヨークのとある豪邸マンション。『流石に広すぎだろ!』というほどの居住スペースをしかもニューヨークを舞台に描くというのは、まだ洋画にアメリカン・ドリームな香りを感じさせていた頃を思い出させる演出でちょっとニヤつきました。00年代まではアメリカ映画にこういう雰囲気が残ってたような~って。こんなのを見せられてた当時の世界中の多感な若者達はそりゃアメリカに憧れを抱いて当然だよな~と。
話を戻しまして、そこに三人の強盗がやってきてメグと娘はすぐに”パニック・ルーム”なる非常用の部屋に隠れるところから物語は始まります。これが普通の作品でしたらすぐに娘が人質に取られたりやってきた他の住人が犠牲になるスプラッター描写だったり最後は警察との銃撃戦!みたいな展開だったと思います。
でも本作は違うんです。
まず作品名の通り”全てはパニックルームを基準に”展開し、メグ達と強盗達がその部屋を争います。安易な第三者の介入は無く、メグ達と強盗達がそれぞれ知恵を絞って戦うのです。これがもう面白い。
例えば強盗達の場合、ただメグ達を脅して銃をぶっ放すとかそういう安易な方法は取らず、極力頭を使ってどうにかしようと魅せてくれます。相手の行動の二手三手先を読んで電話線を切ったりだとかプロパンガスを送り込んだりだとか。しかもそれを”実行しているシーンがちゃんと演出されていて”壁の裏に有る配線をドリルで破壊するシーンでは破片が飛び散らないようにする為クッションを挟んでやっていたりだとか、金庫を開けるシーンではそのままぶっ壊すのでは無く内部の構造が見える範囲まで破壊して後は顕微鏡的なやつで覗きながら手動で開けていたりだとか、
『強盗ってこうやってするんだ!』
って勉強になるような演出が山盛りなんです(笑)。
なので本来メグ達に感情移入しなきゃいけないのに強盗達(といってもほぼバーナムなんですが)の手腕が光るのでそっちに魅了されていくという不思議な時間を過ごすことになります。
そしてもう一つ、言及せざる得ないのが主演ジョディ・フォスターの素晴らしさ。今見ても一級品の美しさですし、こういう純粋な白人女性の美しい女優さんって最近減りましたよね。それに何よりおっぱいが(笑)。
ほぼ全編に渡ってタンクトップですので、いちいちユルユルの谷間が視界に入ってきて最高なんですよもう(笑)。これもメタ的にあえてジョディ・フォスターの魅力を散りばめているのでしょうね。当時は妊娠していたとかで、妊婦さんのフェロモン溢れるおっぱい/////
はてさて、やはり見終わってから皆さん”どうしても疑問に思うことが2つ”有るでしょう。一つは【警察は何故異変に気づいたのか?】そしてもう一つは【ラストの表情の意味】。この最後に疑問が残って語りたくなってしまうような感じも昔のハリウッド映画らしくて良いです。
まず一つ目は作中で明確に髪をかき上げる動作が有りました。そして『強盗に押し入られてる』という具体的なフレーズと、後は警察の感という事になる・・・・?しかし、銃を持った特殊部隊をあれほど動員するにはある程度の証拠が必要になってくるでしょうし、騒音による周りからの通報とひょっとしたらSOS信号を受け取った人が解読していた説もあり得ます。
まあもっと現実的に考えますと、本来警察に通報してくれたスティーブンと再度の連絡が取れなくなっているでしょうから、そこから明らかな異変を感じ取って周りからの通報も込みで出動したという感じでしょう。銃声に関しては強盗のハンドガンにはサプレッサーが付いていましたので、どちらかと言うとそれ以外の騒音でしょう。そういえば、シンプルにお隣さんも居るようでしたしね。
因みに返り血で気づかれたという説を提唱している方がおられましたが、作中では少なくとも上半身や顔には付いていませんでしたし、でも直前にスティーブンに触れているので手には付いていたかもしれません。
メグが割ったガラスの上を歩いて何故か平気(それだけアドレナリンが出ているという描写?)なシーンが有りましたが、それは警察と会った後のシーンでしたので足も流血していないでしょう。なので血関係説は薄いと思います。
そして二つ目。これは真エンディングが有ったらしくその名残りで特にジョディ・フォスターの表情はそうらしいです(笑)。でも僕としてはラウールを殺した時点でメグ達が機転を効かせてバーナムは駆けつけてきたパニックルーム設計会社の管理人という事にして『ああ、有難う管理人さん!』という一転無罪オチを期待していましたが、普通に捕まっちゃいましたね。。。。監視カメラが録画されていない伏線も有りましたし、ここは明らかに強引な変更がなされた事が分かります。
う~~んそもそも金はメグ達でもスティーブンのモノでもなく、あの無能だったリーダーの親族の金ですし、ここはバーナムが助かるエンドでも良かったんじゃないかと。パニックルームを設計した男がそのルームで一つの家族を救い、その褒美を得られる。元々黒人で不利な目にも遭ってきた事が示唆されていますし、自分のやってきた事がこんな形で報われたというオチでも面白かったかも。
まとめ
そんな感じでとにかく上質なパニック映画でした!!!!!ジョディ・フォスターも強盗達もみんな最高の演技を魅せてくれましたね。これはもう是非とも全ての映画ファンに観ていただきたいです。必修です!!ジョディ・フォスター最高です!!!!