「☆陰鬱な世界を見事に表現した秀作☆」マイノリティ・リポート ぼんじゅさんの映画レビュー(感想・評価)
☆陰鬱な世界を見事に表現した秀作☆
今回レビューするのは「マイノリティ・リポート」!!
SF作家フィリップ・K・ディックの短編を、名実ともにハリウッドのトップに立つスティーブン・スピルバーグ監督と人気俳優で演技派のトム・クルーズという夢のタッグで完全映画化した作品で殺人犯の濡れ衣を着せられた刑事の決死の逃亡劇を描く近未来SFサスペンスアクションという内容。
もう10年以上前、2002年の作品です。
フィリップ・K・ディックといえば「ブレードランナー」や「トータル・リコール」が有名で、もちろんその2作品も好きだが自分の中ではこの「マイノリティ・リポート」が一番のお気に入り。
やはり主演のトム・クルーズは本当に存在感がある。
カリスマ的な所は誰しもが認めるところだが、“そこにいるだけで目を引いてしまうほどのオーラ”を常に出し続けられるのは彼ならではのこと。
この作品でも彼は普段より髪を短くし、いつも以上に輝いていた。
先日もSF映画「オブリビオン」を観てきたが10年以上経っても彼自身ほとんど変わらず、50歳にはとてもみえない。それぐらい若い。(昼のテレビ番組“笑っていいとも”にもゲスト出演していた・・・。)
脇役にもこの時はまだ無名のコリン・ファレルが出演している。キャメロン・ディアスもカメオ出演。
そして話の舞台は2054年という近未来で、あらゆる技術が発達し、何もかもが便利になっているにもかかわらず、必ずしも明るいとはいえない世界。
(スピルバーグ監督は「暗い未来を汚い映像にすることでリアリティを出したい」と思い、意図的に画面を汚く見せる映像にしているらしい。)
この世界が実によく表現されていて、まさにフィリップ・K・ディックの小説をそのまま実写化していた。
・「エレベーターのように縦にも横にも走っている近未来のハイウェイ」
・「空を移動できるホバークラフト」
・「棒で叩くとゲロを吐いてしまうという嘔吐棒」
・「未来の武器である空気銃」←ドラえもんの空気砲に似てる・・・。
・「電車やショッピングモールの出入り口にある網膜スキャンで個人を特定する社会」
・「容疑者を追跡するスパイダー・ロボット」
・・・どれも面白いアイデアだ。
自分はこういった未来物をみるのがとても好きだった。とてもワクワクする。
(バック・トゥ・ザ・フューチャーの未来2015年まであと2年だし・・・。ホバーボードが当時ほしかったな・・・。空飛ぶ車はもう無理かな・・・。)
ストーリー的にも、<アクション>・<逃亡劇>・<家族愛>・<真犯人捜し>まで盛りだくさんです。
特にラストシーンでシステムが廃止され、解放されたプリコグの3人が人里離れた土地で静かに暮らすこととなった件はとても感慨深いものがありました。今までの暗いシーンとは対照的な名シーンです。
あとスピルバーグ作品には欠かせない“編集のマイケル・カーン”“音楽のジョン・ウィリアムズ”も健在!!
最近のスピルバーグは幾分年齢のせいか、昔の勢いが徐々に無くなっているのは残念な気がします。
(娯楽作品はもう撮らないと言ってるし・・・。)
確かにスピルバーグは娯楽ばかりではなく「シンドラーのリスト」や「プライベートライアン」のようにシリアスな名作も多く撮ってきました。
しかし彼は後にも先にも“人を楽しませる”事が最も長けた監督だと思います。
「マイノリティ・リポート」は改めて【☆映画はやっぱり楽しまなくっちゃ☆】と強く思わせてくれる作品なのです。
☆☆☆ まだ観ていない方にはぜひオススメ!! ☆☆☆