レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード : インタビュー
「デスペラード」で2代目エル・マリアッチに扮したアントニオ・バンデラスが、再び復讐の音色を奏でるマリアッチとなって帰ってきた。「スパイキッズ」シリーズを通して深まった、ロドリゲスとの関係とは?
アントニオ・バンデラス インタビュー
「ロバートとの仕事はいつもリラックスできるんだ」 若林ゆり
──久しぶりに<マリアッチ>に戻って、いかがでしたか?
「もう若くないから、アクション的にはちょっとキツかった(笑)。でも、新鮮な体験だったね。マリアッチは殺人鬼ではない。でも、ドラッグやバイオレントだらけの環境に置かれてしまった。彼は犠牲者になるか、闘うか、どちらかしかチョイスはないんだ。タイトルが意味するとおり、逃げ場がない。行動を取らなくては、生き延びることができないわけさ。たとえ愛する人を失っていてもね」
──サルマとの逃亡シーンでのアクションは、特にキツかった?
「僕ひとりでやっている分には大丈夫だったよ。僕はケーブルで安全に吊るされていたし。でも、彼女といっしょになると(重さが)ずいぶん増えて、ケーブルが『キキ、キキ』っていやな音をたてるんだよね(笑)。そうだね、正直言ってこわかったな。その前は『もうちょっと汗をかかせてよ』なんて余裕で言っていたんだけど」
──あなたとロドリゲス監督は、もう家族みたいなものだとか?
「初めて会ったときから、彼との間には、ものすごい早さで強い絆が生まれたよ。彼はなんでも自分でやる。それでいて、とてもオープンなんだ。『スパイキッズ』シリーズでは、『デスペラード』とはまったく違うタイプの役を演じる可能性を与えてくれた。自分自身を笑える役だから、おもしろかったよ。彼との仕事は、いつもリラックスできるんだ」
──では今回も、出演に迷いはなかった?
「うん。決まったいきさつは、とてもロドリゲス的だった(笑)。俳優組合のストライキ前で、僕はパリで『ファム・ファタール』を撮っていたんだ。彼から電話がかかってきて、“ヘイ、今から2週間後、何してる? また『デスペラード』を撮るよ。続編のOKが出たんだ。デジタルで撮る”と言うじゃないか。“脚本はあるの?”と聞いたら“まだだけど、それまでには出来るよ”って。それからまたすぐ電話がきて、“できたよ! じゃあメキシコで会おうね。バイ”ってさ(笑)」
──ジョニー・デップとの共演は?
「彼とは、共演シーンが実は1シーンしかなかったんだ。ほとんど携帯電話を通じてコミュニケーションをとっていたね。ジョニーは、違ったタイプの動物という言葉がぴったりだな。特異な動きをするし、選択をする。完璧にインディペンデントなんだ。僕は彼の映画をたくさん見て、彼の演技に驚嘆していた。どんな人なのか想像がつかなかったんだけど、実際に会ってみると、とても寛大で、ユーモアのセンスがあって、チーム全体を受け入れてくれる。もっと彼と仕事する機会があったらよかったな」
──また監督する予定があるとか?
「その脚本を書いているところだよ。舞台は1492年で、スペイン最後の王様の話なんだ。大きなインスピレーションをもって挑んでいる。ロバートみたいにデジタルで撮るかもしれない。それから、『マスク・オブ・ゾロ』の続編にも出るよ。もっと大人向けなんだ。ジェラシーがあるし、しっかりとしたドラマがあり、ユーモアもある。すばらしい脚本なんだ。それからブロードウェイの舞台にも、どうしてもまた立ちたい。去年はとても充実した年だったし、いまは自分の本能的な勘に従って、いい仕事をしていきたいね」