レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード : インタビュー
低予算映画「エル・マリアッチ」でデビューし、「デスペラード」を経て近年は「スパイキッズ」シリーズで成功を収めたロバート・ロドリゲス。常に何役もの肩書きをもち、有名になっても“作りたいものを自分で作る”という姿勢は変わらない根っからの自主映画男。新作「レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード」と盟友クエンティン・タランティーノとのエピソードなど、若林ゆり氏がインタビュー。
ロバート・ロドリゲス監督インタビュー
「低予算で収めるための工夫は、クリエイティブな結果を生むんだ」 若林ゆり
──シリーズ3作目となるこの作品は、どのようにして始まったのですか?
「94年の10月、『デスペラード』の撮影現場で出演していたクエンティン(・タランティーノ)が、“すごいぜ、これってまるで、君のDollers3部作(セルジオ・レオーネの『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン』)じゃん。君も絶対、3本目の映画を作らなくちゃダメだ。『続・夕陽のガンマン』みたいなエピックをな!”ってけしかけたんだよ。その直後に、彼は僕に『キル・ビル』の最初の30ページを読んでくれてね。以来長いこと、お互いに“アレを早く作れよ!”って言い合ってた(笑)」
──ついに着手しようと思ったのは?
「きっかけは、新しいハイビジョンのデジタルHDカメラだった。僕にとってこのシリーズは、ほとんど自分ひとりで好きなように、素早く作ってきたものだよね。規模が大きくなるからって重々しいやり方でやるのは嫌だと思っていた。でもこのカメラを手にして、これなら前2作みたいにクリエイティブに作れるぞって思ったんだ。興奮したね」
──あなたにとって<マリアッチ>というのはどんな意味があるんですか?
「マリアッチというのは、とてもアイコン的なメキシコのビジュアル・イメージそのものだ。スーツを着て、ギターを持った男。あのイメージが大好きなんだよ。アクション・ヒーローそのものだろ? だから今回は『死者の日』のパレードとか、とても強いメキシコのイメージをいろいろ混ぜ合わせたかったんだ。アントニオはもう家族みたいなもので、完璧にわかってくれる。それから、これはアクションでバイオレントだけど、僕に言わせればファンタジー映画だ。僕は元がマンガ家だからね。ユーモラスな要素は欠かせないね」
──キャラクターがとにかく多彩ですね。特に、ジョニー・デップのキャラクターは強烈でした。
「いちばん最初に書き始めたのが、ジョニーの演じるサンズのキャラクターだった。レオーネの映画みたいに強いインパクトのあるワルが必要だと思ってね。まず、携帯電話を持ったCIAエージェントで、国をひっくり返そうとしている男のアイディアがあった。シーンを書き終わるまで、彼が偽の腕を持っているとは決めていなかったよ。そして彼はコックを撃ち、目を失う。書いていて楽しくてね、このキャラクターが大好きになった。ジョニーは書いているときから浮かんでいたよ。彼もこのキャラクターをすごく気に入ってくれてね、もっと変わったキャラにするために、いっぱいアイディアを持ってきた。サンズはたくさん罵り言葉を言うことになってたんだけど、ジョニーは反対した。この男は決して罵ったりしないんだって。だからこそ、彼の台詞はおかしいんだ。ジョニーは台詞もいくつか変えたな。変なTシャツを着るのも彼が考えたんだ。そうやって、彼が自分自身のキャラクターにしていったんだよ」