レジェンド・オブ・メキシコ デスペラード : 映画評論・批評
2004年3月2日更新
2004年3月6日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
他の誰にも撮れないアクション・ファンタジー
「マリアッチ」3部作の完結編で、ロドリゲスは何をやりたかったか。答えは2つ。セルジオ・レオーネみたいなエピックを撮りたい。新しいHDカメラでいろいろなアイディアを試したい。結果、多少ごちゃついた感もあるが、監督が面白がっているのが手に取るようにわかる、型破りなエピックが生まれた!
今度の作品は、前2作とは違う種類の「熱さ」を持っている。なんと言ってもマリアッチ以外のキャラが多い、濃い。特にジョニー・デップ扮する悪いやつのおもしろさときたら。これはもろ、レオーネ的な強烈キャラを目指した結果だろう。こいつのおかげで我らがマリアッチが霞むほどなのは、シリーズ・ファンには微妙でもある。しかし、「パイレーツ・オブ・カリビアン」より前にデップの資質を最大限に生かした監督の慧眼には恐れ入る。ほかのキャラをもう少し整理すれば、評価は高まったかもしれない。でも、各キャラの小ネタを入れたがるのがロドリゲス。そのせっかちさで「溜め」が効かず、猛スピードで突っ走っちゃうところもロドリゲス。お手製映画のスピリットを忘れず、爆炎でごまかさず、他の誰にも撮れないアクション・ファンタジーをものにしたロドリゲスに拍手を送りたい。
(若林ゆり)