劇場公開日 2005年9月17日

「『インファナル・アフェア』で儲けたスタッフ、キャストが日本進出!」頭文字D THE MOVIE kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0『インファナル・アフェア』で儲けたスタッフ、キャストが日本進出!

2019年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 藤原家の内部、階段踊り場にあるサッポロビールのポスターが印象的。時代設定はいつなんだと、藤原家の映像に切り替わると突然タイムトリップしてしまいそうです。拓海の父親が茶の間で寝ている傍らには少年マガジンと週刊夕日が雑然と置いてある。電話はプッシュホンだが、かなり古い。もしやこの一角だけがトレノAE86に合わせてタイムトリップしているかのようだった。

 秋名坂をメインとしたストリートレースの迫力はかなりのもの。できるだけCG、VFXを使わずに本物の走りと追及しただけのことはある。原作(コミックス1巻しか読んでない)に忠実にミゾ走りなどもしっかり描写し、コーナーをインから抜くスリリングな展開には手に汗握ってしまうのです。しかし、このレースの印象が薄い。せっかく実写化したのに、パラパラ漫画のコマ送り風映像という、目に悪影響を与えそうなリュック・ベッソン風編集。「ボールが止まって見える」という王貞治氏の名言のごとく、拓海にはレース相手の車さえ止まって見えるのであるが、観客もそれらの景色が止まって見えてしまっては勘違いする輩も生まれてしまう。したがって、最もスピード臨場感があったのは親父が拓海に運転テクニックを教えるシーンだったことは言うまでもない。

 この映画は、原作を離れて、別の視点で観ると面白いのかもしれない。特に『インファナル・アフェア』のファンが観ると、中里毅(ショーン・ユー)が立花樹(チャップマン・トウ)がマッサージへ行った帰りの運転中に事故を起こし殺害してしまうとか、高橋涼介(エディソン・チャン)が藤原文太(アンソニー・ウォン)を殺してしまうとか、ストリートレースを影で操っているのは実はサム(エリック・ツァン)だった!等々、色々妄想できてしまうのだ。原作は知らないのですが、ヤンとラウ中里と高橋って、親友だったのでしょうか?どうも二人とも潜入捜査官や潜入ヤクザじゃないかと疑ってしまった(峠族を取り締まる警官とか・・・)。

 この映画の評価を思いっきり下げてしまうのは、やはり不自然な吹替え。鈴木杏の吹替えを本人がやっているので、彼女だけが妙に合っていて、他の役者の口が全く合ってないことに違和感を感じまくります(後半には慣れてきましたけど)。これは、鈴木杏が中国語でしゃべり、日本では字幕にて公開するのがベストでしょう。そして音楽が最低。なぜ演歌風にしなければいけないのだ?・・・

kossy