「シリアスさとユーモアを併せ持ったヒューマンドラマだ。」群衆 岡崎仁さんの映画レビュー(感想・評価)
シリアスさとユーモアを併せ持ったヒューマンドラマだ。
解雇を通告された新聞の女性コラムニスト、アンは、社会への抗議のためにクリスマスイブに自殺をすると予告する、「ジョン・ドウ」と名乗る失業者の投書をでっち上げる。
彼女は競合紙に採用され、元野球選手ジョン・ウィロビーを、「ジョン・ドウ」役として雇う。やがて彼の活動は、全国的な草の根運動に発展する、、、。
道徳的な教訓と感傷的な感動に満ちた作品だ。長い演説でも知られる作品だが、甘美的なヒューマニズムにあふれている。暗いテーマだが、明るい希望をもたせる結末まで、軽妙なタッチで温かく描いている。
本作の米国公開=1941年は、日米開戦の年だし、1930年代は米国内で深刻な恐慌に襲われている。そうした時代に、本作が生まれたのも偶然では無い。
社会の利己主義に対する怒りや、市井の人々への優しいまなざしは十分に理解できる。シリアスさとユーモアを併せ持ったヒューマンドラマだ。
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