Mr.インクレディブル : 映画評論・批評
2004年12月1日更新
2004年12月4日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
まさに、インクレディブル!なのはピクサー?
一見すると、「Mr.インクレディブル」は、いつものピクサー映画らしくない。主人公は魚やモンスターじゃなく人間たち(しかも、その造形は決してキュートじゃない)。アクション描写は過激で(ピクサーでは、初のPG指定映画となった)、上映時間もこれまでで最長の115分である。
でも、これが大傑作なのだ。最高に刺激的なアクション映画でありながら、笑いとドラマに満ち、ピクサー映画のトレードマークであるハートがしっかりとある。圧倒的なビジュアル表現と卓越したストーリーテリング、そして、その根底に流れるポジティブなメッセージ。これほど完成度の高い作品は、実写映画でも滅多にお目にかかれるものじゃない。
これまで新作を作るたびにCGアニメのレベルを引き上げてきたピクサーだけれど、今回の到達点はあまりにも高い。脚本・監督を手がけたブラッド・バードの功績であることは間違いないが、どのスタジオからも問題児扱いされていた監督を招き入れたピクサーの器量の大きさも評価すべきだろう。これまでの成功方式を繰り返した方がよっぽど楽なのに、あえて外部監督を呼び込んで会社を活性化させた。つくづく志が高いスタジオだと思う。
(小西未来)