ヘルボーイ(2004)のレビュー・感想・評価
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キャラクターの魅力あふれる超人映画
何と言ってもロン・パールマンの異形のキャラクターに尽きる。彼の風貌はそのままでも十分にモンスターなのに、特殊メイクで繊細な心を持つ悪魔の男の子のまま成長した自意識過剰のモンスターを見事に表現している。
まるで女の子が前髪を気にするあまり、ヘアアイロンを手放せないように、恋する女性に嫌われたくない一心で伸びてくる角をグラインダーで削っている様子は、滑稽で笑える。これだけでも特殊加工にずいぶん予算を使うはず。
たぶんそれほど話題にもならなかったし、ヒットシリーズにも成長しなかったのに、続編までリリースされて、ファンとしてはうれしい限り。
デル・トロ監督は新作をとるごとに、こだわりの度合いを増していく。まだ見ぬ『シェイプ・オブ・ウォーター』には、再び半魚人が出るということなので、何かつながりを感じずにはおれません。
ヘルボーイかわいい。
抒情味のあるモンスター映画
ナチスのオカルト結社を急襲した米軍の前に、真っ赤で角のある赤ん坊が残されていた。
科学者に育てられた赤ん坊はヘルボーイ(ロン・パールマン)と名付けられ、アメリカで超常現象が絡む事件のエージェントをしていた。
デル・トロ監督らしく、ヘルボーイとリズのロマンスが切ない。
現実こそ地獄
昨年くらいに続編が公開されて、賛否両論読んでいたような気がしますが、今回は元の方を。
はっきり言ってよくわかりませんでした。
というのもストーリーが難しいということではなく、なんか頭に残らないという感じです。
ヘルボーイ始めキャラクターたちは印象的なビジュアルなんですが…
実は初デルトロでした。
観たことはないけれど、半魚人や種を超えた愛などはシェイプオブウォーターに通ずるところもあって、この雰囲気は結構好きなので、是非他の作品も観てみたいと思います。
表現しにくいドロドロネバネバの気持ち悪さが良いですね。
ヘルボーイはヒーローらしくカッコよくて、ちょっとお茶目で可愛らしい。
嫉妬しちゃったり、研究所でのおっさん味の抜けない感じは、とても人間らしくて好感が持てました。
ヘルボーイがナチスのオカルト戦争から生まれたということや、ロマノフ王朝のなんたらとか、そういう部分も良かったんですが、よく分からない感じはここらへんから来ているのかも。
またいつか観直したいと思います。
デルトロ
ハルクとシュレックを足して緑を赤にしたらこうなった
ダークなアメコミ・ヒーローがまた誕生した。風体は真っ赤な鬼なのだ。ハルクとシュレックを足して緑を赤にしたら、こうなった・・・みたいなノリで。
設定も造詣も面白い。魔界サイドから誕生した、悪魔の落とし子のような存在のヘルボーイ。人間側に立って悪と戦うまでに育て上げたジョン・ハート演ずるブルーム博士もとんでもない程すごい設定だ。脇を固める人間サイドの半魚人エイブ・サピエンや魔界側のクロエネンもいい!もちろん、セルマ・ブレアが演ずる炎の女もカッコいいのだ。そして、最近のヒーロー像には欠かせないドジで恋が苦手な一面も見せていて、アクションだってすごいことをやってるので、完璧なような気もするのだが、ストーリー展開がイマイチなのだ。
様々なダークヒーローへのオマージュや、後半に見せる地下世界では『インディー・ジョーンズ』や『LOTR』の雰囲気も漂わせていて、すごく面白い。だから、この中盤の中弛み感がすごく惜しいのだ。
何となく好きなところは、半魚人の青い血や、ヘルボーイの後頭部の力士そっくりの髷。角隠しの発想はアメリカ人にもあるのか・・・などと考えさせられたことだ。
オカルトSFアクション。 キャスティングが凄くいい。セルマブレアの...
超ダンディズム
一応、最後まで見れた。
人間より人間臭いダークヒーロー
アメコミヒーローの中でも異色の異形のヒーロー、ヘルボーイ。
悪魔の子として生まれながら、愛情深いブルーム教授に育てられ、超常現象調査防衛局の凄腕エージェントとして超自然的なモンスターを次々と撃退。
しかし、この異形のヒーロー、人間以上に人間臭い。父親代わりの教授の言うことを聞かずに脱走を繰り返すところなどは思春期の反抗期の少年みたいだし、同僚であるリズへの恋に悩み、子猫を愛するなんて、何だか力自慢(自分の力を持て余す)の不良少年みたい。
ヘルボーイが偶然出会った少年に手作りクッキーとミルクで持てなされ恋の悩みを相談するシーンは好きだったなあ。
これを観ていて思い出したのが「泣いた赤鬼」。ヘルボーイは相棒の半魚人エイブと「レッド」「ブルー」と呼び合っている。まさか、原作者のマイク・ミニョーラ、「泣いた赤鬼」読んでる?なんてことないよね。
オカルト要素満載のアメコミ映画
本作ヒーローのヘルボーイは、ナチスの儀式で現世に生れ落ちたという経緯を持つ。外見が赤い悪魔という彼は、世間の偏見から悪の道に染まっていてもおかしくない。
ところがヘルボーイの傍にはブルーム教授がいた。
彼は家財道具を盗んだ当の相手に銀の燭台を差し出す司教のように、とても深い愛情で彼に接した。
その結果、少々下品であってもシニカルな考えは少なめで、残酷とか冷酷とかダークな要素も驚くほど少ない。
まるで髭剃りするかのように額の角に電気ヤスリをかけ、見た目に反してにゃんこ大好きでモフモフ生活をエンジョイし、髪型はなぜかちょんまげ。
こんな愛すべきヒーロー、他に知らない。
もちろん原作がしっかりしているというのはあるのだろう。実は未読なのだけど。
原作コミックは読んでいないけれど、設定をそのまま放り込んだのでは映画にならないということは知っている。
たまに見かけるが、映画の尺も考えずにセリフだけ拝借したために説明不足で観客置いてきぼりか、やたら説明調のお粗末なシナリオに着地するというパターンは、残念ながらわりとある。
ところが本作『ヘルボーイ』は、きちんと映画として成立させたと信じることができる。
原作は未読だけど。
設定だけ借用してキャラクター造詣してるなら、こんなに自然な描写は無理。
独特のキャラクターはヘルボーイだけじゃない。
ヒーロー・サイドには半魚人で感知能力に長けたエイブ、強力な発火能力を持つリズがいるし、敵役には魔術を使う怪僧ラスプーチン、ガスマスクを常用してトンファー型の剣を操るクロエネン、獣と芋虫を合体させたような外観の怪物サマエルがいる。
挙げたのは特殊な才能を持った連中に限るが、そうじゃないキャラクターも同じくらいいる。それでも劇中、混乱することなくキャラ立ちさせるのに成功している。これがすごい。
それでもメインはヘルボーイ。
彼の自分勝手さ、突き抜けた感性には、始終大人のしがらみに拘束された現代社会の人間にとってはとびきり魅力的に見える。
上司にアレコレ指図されても知らん顔、事前打ち合わせと違うことやって周囲に迷惑かけるとか気にしない。この辺は悪魔に象徴される自由気ままの権化。
でも想い人リズに対する気持ちもモノホン。自分が受け入れられてないのではと思いつつ、彼女の危機には駆けつける。そんなストレートな感情表現がとってもキュート。
それがラストの決断につながっていくのだけど、あんなに大きな愛はちょっとあるもんじゃない。愛との狭間に揺れるヘルボーイ。世界観の大きさは超弩級だ。
しかし惜しい部分がないわけでもない。
当時はVFXの技術が映画『ヘルボーイ』の要求に追いついていなかったのか、アクションシーンではややもっさりした印象。
ふっ飛ばし攻撃にもレスポンスがやや悪い。リズの発火能力もどこか作り物めいているなど、そっちの目が厳しい人には物足りないかもしれない。
それでもキャラ立ちとオカルト趣味と愛が詰まった本作。
好きな人にはたまらん一作には違いない。
では評価。
キャスティング:7(ヘルボーイを好演のロン・パールマン、嫌味な上司役のジェフリー・タンバーが強い印象を残す)
ストーリー:7(全体的に急展開ながら、まとまりを持たせてキャラ立ちにも成功している)
映像・演出:9(アクションのもっさり感以外は満点)
オカルト:8(知らない人にはまったく無意味のナチスとオカルトをふんだんに盛り込む)
愛:8(ラブストーリーでもないのに、悪魔が主役なのに、作品を貫く愛はとんでもなく深い)
というわけで50点満点中39点。
バットマンやX-menなんかと比べたらマイナー感のあるヒーロー・ヘルボーイ。
しかしキャラクター造詣はいささかの引けもとらない。アメコミ好きには文句なしにオススメ。
ブサイク・ヒーロー物語、ここにあり
本物の悪魔である主人公が、人類の味方として怪物と戦う。
という設定に興味を引かれて鑑賞。
私はもともと悪魔とか怪物とか好きなほうなので(あまりにグロいのはダメですが)、結構楽しめました。
この映画、人間が結構むごい形で犠牲になりますが…。
ヘルボーイは髪型がチョンマゲ(笑)、決してカッコいい顔ではない。
悪魔だけど、優しい心の持ち主(猫好き)で、好きな相手になかなか想いを伝えられないでいる。敵との戦い方はけっこうがむしゃらというか、専用銃は持ってるけど「最終的には拳で決着をつける」的な、体当たり戦法な感じですね。
最後に戦うモンスター(超巨大)との決着には、ちょっと拍子抜け。
ヘルボーイの父親的存在「ブルーム教授」、
彼の顔を見てずーっと「どこかで見たことある顔なんだけど…どこだったっけ…」思い出せず。
最後のエンドクレジットを見て「ジョン・ハート」。
ああ!「Vフォー・ヴェンデッタ」のサトラーだった人だ!と、納得。
「あの人」は最後の最後で忘れられていましたね…見ていた私もすっかり忘れていて、「あ、この人がいたっけ!」
あれはいいオチでした。
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