ヘルボーイ(2004)のレビュー・感想・評価
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オカルト要素満載のアメコミ映画
本作ヒーローのヘルボーイは、ナチスの儀式で現世に生れ落ちたという経緯を持つ。外見が赤い悪魔という彼は、世間の偏見から悪の道に染まっていてもおかしくない。
ところがヘルボーイの傍にはブルーム教授がいた。
彼は家財道具を盗んだ当の相手に銀の燭台を差し出す司教のように、とても深い愛情で彼に接した。
その結果、少々下品であってもシニカルな考えは少なめで、残酷とか冷酷とかダークな要素も驚くほど少ない。
まるで髭剃りするかのように額の角に電気ヤスリをかけ、見た目に反してにゃんこ大好きでモフモフ生活をエンジョイし、髪型はなぜかちょんまげ。
こんな愛すべきヒーロー、他に知らない。
もちろん原作がしっかりしているというのはあるのだろう。実は未読なのだけど。
原作コミックは読んでいないけれど、設定をそのまま放り込んだのでは映画にならないということは知っている。
たまに見かけるが、映画の尺も考えずにセリフだけ拝借したために説明不足で観客置いてきぼりか、やたら説明調のお粗末なシナリオに着地するというパターンは、残念ながらわりとある。
ところが本作『ヘルボーイ』は、きちんと映画として成立させたと信じることができる。
原作は未読だけど。
設定だけ借用してキャラクター造詣してるなら、こんなに自然な描写は無理。
独特のキャラクターはヘルボーイだけじゃない。
ヒーロー・サイドには半魚人で感知能力に長けたエイブ、強力な発火能力を持つリズがいるし、敵役には魔術を使う怪僧ラスプーチン、ガスマスクを常用してトンファー型の剣を操るクロエネン、獣と芋虫を合体させたような外観の怪物サマエルがいる。
挙げたのは特殊な才能を持った連中に限るが、そうじゃないキャラクターも同じくらいいる。それでも劇中、混乱することなくキャラ立ちさせるのに成功している。これがすごい。
それでもメインはヘルボーイ。
彼の自分勝手さ、突き抜けた感性には、始終大人のしがらみに拘束された現代社会の人間にとってはとびきり魅力的に見える。
上司にアレコレ指図されても知らん顔、事前打ち合わせと違うことやって周囲に迷惑かけるとか気にしない。この辺は悪魔に象徴される自由気ままの権化。
でも想い人リズに対する気持ちもモノホン。自分が受け入れられてないのではと思いつつ、彼女の危機には駆けつける。そんなストレートな感情表現がとってもキュート。
それがラストの決断につながっていくのだけど、あんなに大きな愛はちょっとあるもんじゃない。愛との狭間に揺れるヘルボーイ。世界観の大きさは超弩級だ。
しかし惜しい部分がないわけでもない。
当時はVFXの技術が映画『ヘルボーイ』の要求に追いついていなかったのか、アクションシーンではややもっさりした印象。
ふっ飛ばし攻撃にもレスポンスがやや悪い。リズの発火能力もどこか作り物めいているなど、そっちの目が厳しい人には物足りないかもしれない。
それでもキャラ立ちとオカルト趣味と愛が詰まった本作。
好きな人にはたまらん一作には違いない。
では評価。
キャスティング:7(ヘルボーイを好演のロン・パールマン、嫌味な上司役のジェフリー・タンバーが強い印象を残す)
ストーリー:7(全体的に急展開ながら、まとまりを持たせてキャラ立ちにも成功している)
映像・演出:9(アクションのもっさり感以外は満点)
オカルト:8(知らない人にはまったく無意味のナチスとオカルトをふんだんに盛り込む)
愛:8(ラブストーリーでもないのに、悪魔が主役なのに、作品を貫く愛はとんでもなく深い)
というわけで50点満点中39点。
バットマンやX-menなんかと比べたらマイナー感のあるヒーロー・ヘルボーイ。
しかしキャラクター造詣はいささかの引けもとらない。アメコミ好きには文句なしにオススメ。
ブサイク・ヒーロー物語、ここにあり
本物の悪魔である主人公が、人類の味方として怪物と戦う。
という設定に興味を引かれて鑑賞。
私はもともと悪魔とか怪物とか好きなほうなので(あまりにグロいのはダメですが)、結構楽しめました。
この映画、人間が結構むごい形で犠牲になりますが…。
ヘルボーイは髪型がチョンマゲ(笑)、決してカッコいい顔ではない。
悪魔だけど、優しい心の持ち主(猫好き)で、好きな相手になかなか想いを伝えられないでいる。敵との戦い方はけっこうがむしゃらというか、専用銃は持ってるけど「最終的には拳で決着をつける」的な、体当たり戦法な感じですね。
最後に戦うモンスター(超巨大)との決着には、ちょっと拍子抜け。
ヘルボーイの父親的存在「ブルーム教授」、
彼の顔を見てずーっと「どこかで見たことある顔なんだけど…どこだったっけ…」思い出せず。
最後のエンドクレジットを見て「ジョン・ハート」。
ああ!「Vフォー・ヴェンデッタ」のサトラーだった人だ!と、納得。
「あの人」は最後の最後で忘れられていましたね…見ていた私もすっかり忘れていて、「あ、この人がいたっけ!」
あれはいいオチでした。
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