「“ダイ・ハード”な悪魔ヒーロー」ヘルボーイ(2004) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
“ダイ・ハード”な悪魔ヒーロー
ギレルモ・デル・トロとロン・パールマンの名タッグで2004年に初召喚。
2019年にも再召喚された人気を誇る悪魔ヒーロー。
やはり圧倒的に本作の方が面白い。
2019年版はやたらと過剰なバイオレンス描写にゲンナリしたが、こちらはデル・トロのエンタメ×ビジュアルが凝縮。
基はマイク・ミニョーラのコミック。抜群のコミック・センス。
怪力パワー炸裂のアクション、異色ヒーローの魅力。
ユーモアも絶妙。ジェラっちゃうラブコメ要素も。
“世話係”の新人エージェントとのやり取り。FBI局長と常々対立するも、終盤危機を共にし、マッチで付けた葉巻で分かち合う乙な味。
“MIB”のような組織、“BPRD(超常現象調査防衛局)”の設定もユニーク。
ナチスやラスプーチンが絡む歴史ミステリー。クリーチャーや世界観にラヴクラフト・オマージュ。クロエネンやサマエルの造形など通には堪らない!
デル・トロ印、CGも使いつつも、極力特殊メイクや特殊スーツで創造されたキャラたち。生身が伝わり愛着度半端ない。ヘルボーイのちょんまげも。
悪魔の子、半魚人、人体発火…周囲から差別/偏見に晒される。異形の者たちへのデル・トロの愛。ブルーム教授のヘルボーイへの愛情はデル・トロそのもの。
ブルーム教授とヘルボーイの父子愛。個人的に本作の魅力の一つだと思っている。死別シーンは悲しい…。
クライマックスの最大の危機。ラスプーチンによって悪魔の力を発揮させ、この世を滅亡させてしまうのか…?
自分は何者か、存在意義は…?
自分の運命や意味は、自らの選択で決まる…。
これらたっぷりの要素、醍醐味、面白さに満ちたエンタメ120分! 他に何が必要!?…ってくらい。
デル・トロの才気と共に、ロン・パールマン抜きでは語れない。
長年映画化を企画していたデル・トロ。その時から主演にパールマン起用。それは原作者ミニョーラも。が、監督と原作者の熱烈な推しにも拘わらず、スタジオは猛反対。デル・トロは7年掛けてスタジオを説得し、製作費を削減されようとも、パールマンを主演に招いて成功に導いた。何とドラマチック!
そのラブコールに見事応えたパールマン。だって、ハマり役!
強面、いかつい体格。問題児だけど、憎めない。
毒舌に富んだ減らず口。恋愛には超奥手。人間以上に人間臭くて人間味たっぷり。ネコちゃん好き。
そして、やる時はやる。キメる時はキメる。その頼もしさ、カッコ良さ!
見た目は悪魔だけど、心は熱い正義。
葉巻を咥える様なんか、マカロニ・ウエスタン時代のイーストウッドのようなアンチヒーローを彷彿。
THE漢! 男ならこの漢に惚れろ!
久し振りに見て、誰かに似てるなぁ…と思ったら、そうそうアノ人!
このタフさ、哀愁、ぼやき節…。
問題児でありつつ、奮闘。
どんな危機にも“決して死なない漢”…。
ヘルボーイは悪魔界の“ダイ・ハード”=マクレーンだったのだ!