「原作のイメージを凌駕した映画」ハリー・ポッターと賢者の石 とみいじょんさんの映画レビュー(感想・評価)
原作のイメージを凌駕した映画
シリーズが完結してしまいました。
子どもたちの成長譚であると同時に、世界がファシズムに呑みこまれていく様、そしてそれに対するレジスタンスを描き切った大作。
善とは何か、愛とは何かとか様々な哲学的要素をちりばめながらも、映画では深く掘り下げられていなかったけど、人生での大切なメッセージを、子どもたちの成長に伴う悩み行動する様や大人たちのふるまいを通して見せてくれたシリーズ。
その第一作め。まだ、世界は明るく希望に満ちていた。
特に、マグル育ちのハリ―やハ―マイオニ―の初めて接する魔法への反応とか、新入生特有のドキドキ感とワクワク感に満ちていた。その友達に、日常に魔法があって当たり前の魔法使い一家の四男坊を配するところがなんとも面白い。
大好きな本の映画化。吉とでるかがっかりするか、怖くてなかなか観られなかった映画。
予告の掴みはOKだけど、でもという映画多いよね、と。
ああ、でもここまで見事に映像化してくれる映画が他にあっただろうか?
ホグワ―ツの食事の間から、全ての舞台設定の見事さ。階段が勝手に動いて道がわからなくなるって、文章での頭のイメージでは面白いけど…あ、映像の方がもっと面白いや!!!
キャストも、凄いすごい。よくぞ、ここまでハリーのイメージぴったりな子がいたものだ。
それだけでなく教員のお一人お一人も見事。厳格ながらどこかおかしく、かつなんてスマート!!!マクゴガナル先生、スネイプ先生なんて、私のイメージ力が少ないのがいけないんだけど、自分でイメージしていた以上にぴったり。しかも、私一人がイメージにあうと言っているわけでなく、ほとんどの方がイメージ通りと言っているなんて、スタッフ、役者みんなこの作品のファンで読みこんだんだろうなと嬉しくなってしまう。
エピソード・エピソ―ドの作り、小さな小物まで、オタクか?と突っ込みたくなるぐらい充実してます。
ただ、『賢者の石』単体の映画として観ると、原作の捨てがたいエピソードを詰め込み過ぎて、ごった煮映画になってしまっているんですよね。最初のプロローグとして、ホグワ―ツ・魔法の世界の紹介映画としては良いんだけど、一つの物語として観る場合、起承転結とか、序破急とか、物語の流れがブツ切れ。やっぱり2時間程度じゃ収まらない。0章とか作ってホグワ―ツを紹介して、秘密の部屋のエピソードに絞った話にするしかないのかな?
原作の映画化って難しいですね。
とはいえ、これから続く長い物語の序章、息抜きとしては最高の映画です。
シリーズ中繰り返しみたいNO1。
なんといってもハリーもロンもハ―マイオニ―もネビルも皆可愛い。彼らの初めて体験やちょこまかした、奮闘記とそれを見守る大人たちを鑑賞するだけでも眼福です。