劇場公開日 2006年9月2日

「B級モンスター映画だけど一味違う」グエムル 漢江の怪物 夢見る電気羊さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0B級モンスター映画だけど一味違う

2020年6月30日
iPhoneアプリから投稿

正直なところ怪物のビジュアルが優れてるわけでも展開に意外性があるわけでもなく、科学考証とかその辺も全くと言っていいほど杜撰ではあるんだけど、
ダメ親父やその家族が必死になって娘を探していこうとする家族映画となってる部分の巧みな描き方が凄く良い。コメディタッチのノリにも関わらず、結構絶望的な気持ちになったり、でも軽いノリで乗り切ったり。でも、誰も死なないなんてことはなくて死ぬかもしれないという緊張感と悲劇性がちゃんと描かれている。
パラサイト見た後だからかもしれないけど監督の才能の片鱗は十分味わえる作品。
主人公であるダメ親父の親父さんが本当に息子思い、家族思いで、非常に黒いこともしながらも家族を育ててきたという部分とそれでもやりきれない申し訳なさみたいなところがあり、とても心にくる。弟と妹に兄貴は本当はすごいやつなんだよ、と眠ってて聞いてないのに話してるのがコミカルではあるんだけどあそこがあの親父の人間性を表現する上で重要なシーンだなと思えた。あとなんとなく、志村喬に似てるなぁ、と思ってしまいました。一番好きなキャラ。

夢見る電気羊