「風刺のきいた韓国モンスター映画」グエムル 漢江の怪物 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
風刺のきいた韓国モンスター映画
『パラサイト 半地下の家族』がアカデミー賞4部門を受賞した韓国映画で(これはまだ観ていません)、監督があの『殺人の追憶』のポン・ジュノの作品でもあったので気になって仕方がなく、やっと見ました。
グエムルというのは、韓国語で怪物という意味らしいです。
在韓の米国人がホルムアルデヒドを川に大量廃棄したため、魚類のような両生類のようなグエムルが誕生して、人間を丸呑みし大暴れ。カンドゥ(ソン・ガンホ)の娘ヒョンソ(コ・アソン)も怪物に丸呑みされ、ヒョンソの父親など家族が一丸となって娘を救おうとする話。
重くて暗いストーリーなのに、緊迫感の中にプスプスと抜けた感じがあって、怪物と戦うのは国家や科学者ではなくて貧乏な一家。『殺人の追憶』もそんなコミカルな感じが時々見え隠れしていたなと思い返しました。
反米的な要素もあり、ただの怪獣映画じゃないかもしれない、と思わせる作品でした。
怪物のビジュアルは気持ち悪く、なかなかよくできていると思いましたが、『エイリアン』のような感じであるけれど、そこまで完全無欠ではなく、最期はわりと簡単にナムジュの火の矢などでやられてしまいます。
怪物に呑まれたヒョンソは死んでしまったのか? はっきりした描写がありませんでしたが、カンドゥがヒョンソと最後まで一緒にいた浮浪児の少年を引き取り、一緒に仲良く夕飯を食べるシーンがあり、やりきれない感じが心にもわっと残るのは、ちょっと『殺人の追憶』のエンディングぽい感じもしました。終わり方がすっきりしないのに、上手いというか…。
<備忘録>
父 :カンドゥ(ソン・ガンホ)
娘 :ヒョンソ(コ・アソン)
祖父:ヒボン(ピョン・ヒボン)
弟(伯父):ナミル(パク・ヘイル)
妹(伯母):ナムジュ(ペ・ドゥナ)
アーチェリーのナムジュ、どこかで見たことあるなと思ったら、是枝監督の『空気人形』の人だった。どこを見ているかわからない瞳がナチュラルで透明感があります。