グッド・ウィル・ハンティング 旅立ちのレビュー・感想・評価
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過去のトラウマを持った天才青年が心理学者との出会いで心を開き新しい人生の一歩を踏み出すヒューマンドラマ映画
スラム育ちの天才的な頭脳を持つ青年は心に大きな傷を抱えている。人を信用することができず、愛し愛されることを知らない。
天才が故に知識だけを並べ、良いところばかりみせようと見栄を張り、嘘をつくプライドの高さ。嫌われることを恐れ、傷つく前に去ることで自分を守ろうとする。
誰もが羨む天才青年は、誰よりも人間らしく弱いところがある。
そんな青年を心理学者が心の交流をして
少しずつ心を開いていく。
心理描写が繊細に描かれ、感情に触れた繊細な内容で何度も涙した。
心理学者が妻との愛を語るシーンでは
本当の愛とは、を考えさせられる。
相手の欠点をも愛し、認め合うことができること。
どんなに才能があっても完璧な人間などはいない。
大事なのはお互いにとって完璧であれば良いということ。
そして、言葉の大切さ。
良くも悪くも、言葉が人に与える影響力は凄まじい。正論を突きつけることが全てではない。
自分が傷つくことを恐れるより相手を傷つけることのないよう考えて、助言や発言をしたい。
そんな強さを持ちたいと感じた。
本や歴史などの知識や情報が全てではないということも感じた。実際に自分の目で見て感じて沢山の経験をする。失敗も沢山する。
その経験こそがどんなに有名な本や偉大な歴史上の人物よりも
唯一無二の素晴らしい人生の物語なのだと感じた。みんな自分の人生の主人公なのである。
今の自分、弱いところも認めて許すこと。自分自身と向き合い知ること。
自分の道は自分で決め、生きたい人生を生きる。
失敗しても良い、失敗や嫌われることを恐れない強さをもつこと。
一歩進むためにほんの少しの勇気を持つこと。
そして、自分が望んで進んだ先には
絶対に後悔はないということ。
たくさんのことを感じ考えさせてくれる
とても奥深い映画。
大切な人を大切にするために
素晴らしき数学の世界へようこそ! 才能をどう使うかは自分次第
まず本作は脚本が凄く良く出来ているのですが、実は、これはあのマット・デイモンとベン・アフレックの2人が書いているのです。当時は2人とも無名ながら、本作でアカデミー賞の脚本賞を受賞して、この成功が今の彼らのキャリアに大きくつながっているのです。
当時の第70回アカデミー賞は、現時点でも最多受賞記録を持つ「タイタニック」があった年で、そんな中、「タイタニック」が14ノミネートに対し、本作は、作品賞、監督賞(ガス・ヴァン・サント)、主演男優賞(マット・デイモン)、助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)、助演女優賞など主要9部門でノミネートを果たしていたのです! そして脚本賞と共に、ロビン・ウィリアムズが初の助演男優賞を受賞しました。
本作の主人公ウィル・ハンティングは、MIT(マサチューセッツ工科大学)で清掃員をしたりして生計を立てる青年である一方で、100年に数人級の頭脳を持った人物として描かれています。本作のリアリティーの源泉には、ラマヌジャンという1900年頃のインドの数学者の存在があったりします(詳しく知りたい人は「奇蹟がくれた数式」という映画を!)。
マット・デイモンはハーバード大学にいた(中退)だけのことはあって、学問的なリサーチがしっかりしていて、主人公にリアリティーを巧みに与えているのです。
そして、そんなウィル・ハンティングを才能を見出し、その才能に惹かれ翻弄される「フィールズ賞」(いわば「数学のノーベル賞」)受賞者のランボー教授、そして、ランボー教授に頼まれてウィル・ハンティングを更生させようとする心理学者ショーンとのやり取りも深いものがあります。
なぜウィル・ハンティングは素直に能力を活かすことができないのか? その謎を追う過程において、周辺の人たちを巻き込み、思わぬ展開が続いていきます。
「エンディング以降のウィル・ハンティングはどのように生きていくのか」を想像するのも意味がありそうですし、本作には数々の名言もあります。
今この作品を見直して良かったな、と思えたのは、本作でアカデミー賞を受賞したロビン・ウィリアムズが、実社会においては、2014年に63歳で自殺してしまったのです。
当時は勝手に「パーキンソン病や、幻覚が見えたりする(レビー小体型)認知症に苦しんで亡くなってしまったのか」と記事を見て思っていましたが、ショーン(ロビン・ウィリアムズ)の
「そのことだけで私が君の気持ちをわかると思うか? 『オリバー・ツイスト』を読めば理解できるのか?」という言葉の通り、想像でしかないですし、「本当の気持ち」は誰にも解らないものなのかもしれませんね。
3月30日にCNNが、志村けんさんの訃報の際に「日本のロビン・ウィリアムズが亡くなった」と伝えていたので、「パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー」の際のロビン・ウィリアムズが被ってきたりと、さらに多くの感情が去来しました。
学問をモチーフにしながら、様々な人間関係や深層心理などを考えたりできる名作です!
驚いた…
グッド「ウィル ハンティング」? 「グッド ウィル」ハンティング?
主人公ウィルハンティングは 幼少期のあれこれで心を閉ざしてしまい、天賦の才能を眠らせたまま。その心の澱を取り除き 数学者として世に出してやろう、と周囲の人があくせく。ただ 偽悪家の青年は なかなか心を開かない。最終的に 善良なる「ウィルハンティング」となりまして、めでたしめでたし・・・という見方は 的外れではないでしょう。
もう一つ、本当に主人公の閉ざされた心を解き放とう、と 周りの人間は汗をかくが そういう一見しての「善意=グッドウィル」が 患者である彼の救いになっているのかどうか・・・それ、本当に善意からですか?彼にためにだけの行動ですか?は 実際のところ判断も難しい気もします。
善意のあり方、よかれと思っての行動が 本当に正しいものかどうか。映画タイトルには【善意のあり方を追い求めて】という意味も込められていると思います。
余談ですが。
大好きな役者ロビンウィリアムズ・・・最期はレビー小体型認知症で自ら斃れますが、この映画や【レナードの朝】【パッチ・アダムズ】などの撮影現場をどんな想いで 薄れゆく記憶の中から拾い集めてたか、を考えると 胸がつまります。
【99.4】グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち 映画レビュー
作品レビュー:『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1997)
作品の完成度
映画『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』は、その脚本、演技、そして感動的な物語の融合によって、普遍的なテーマを深く掘り下げた傑作。一見すると天才的な才能を持つ若者の成長物語に過ぎないが、その根底には、人間が抱えるトラウマ、信頼、そして自己受容という重層的なテーマが織り込まれている。脚本家のマット・デイモンとベン・アフレックが描いたウィルの内面の葛藤は、観客自身の心の傷と向き合うきっかけを与える。物語の展開は、登場人物たちの感情の機微を丁寧に描き出し、特にセラピストとの対話シーンは、映画全体に緊張感と感動をもたらす。アカデミー賞脚本賞を受賞したことからも、その完成度の高さが証明されており、単なるエンターテイメントに留まらない芸術性を持つ。
監督・演出・編集
監督ガス・ヴァン・サントによる演出は、ヒューマンドラマとしての繊細さと、時折見せるドキュメンタリーのような生々しさを両立させている。特に、ウィルとショーンの対話シーンでは、静寂と間を巧みに利用し、言葉にできない感情の揺れ動きを表現。ボストンという街の風情を捉えた映像は、物語にリアリティを付与する。編集は、物語のテンポを損なうことなく、登場人物の感情の起伏を強調する構成。過去のトラウマをフラッシュバックとして挿入する手法は、ウィルの心の傷を視覚的に表現し、観客の共感を誘う。全体の演出は、決して派手ではないが、細部にまでこだわった丁寧な作り込みが光る。
キャスティング・役者の演技
• マット・デイモン(ウィル・ハンティング役)
ハーバード大学の清掃員として働く天才的な頭脳を持つ青年。自身の才能に蓋をし、過去のトラウマから心を閉ざしている複雑なキャラクター。デイモンの演技は、内面の葛藤を静かに、しかし強烈に表現。知的なセリフ回しだけでなく、眼差しや仕草一つ一つにウィルの孤独や恐怖がにじみ出ていた。自ら脚本を執筆したことで、役柄への深い理解とシンクロニシティが生まれ、単なる演技を超えた真実味を帯びている。若き日の葛藤と希望を見事に演じ切り、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされたその演技は、まさにキャリアの転機となる名演。
• ロビン・ウィリアムズ(ショーン・マグワイア役)
ウィルの才能を見抜き、心の扉を開かせようとするセラピスト。自身の過去の経験から、ウィルの孤独に寄り添う温かさと、時に厳しさを持つ役柄。ウィリアムズは、コメディ俳優としてのイメージを覆すシリアスな演技で、深い人間性を表現。ウィルとの対話シーンでの繊細な感情表現は、観客の心を深く揺さぶる。特に「It's not your fault.」と繰り返すシーンは、映画史に残る名場面。この演技によってアカデミー賞助演男優賞を受賞し、彼の俳優としての幅広さと深さを世界に知らしめた。
• ベン・アフレック(チャッキー・サリヴァン役)
ウィルの幼馴染で、彼の才能を信じ、自立を促す親友。ウィルとは対照的に、学歴はないが真っ直ぐな心を持つキャラクター。アフレックは、親友への強い愛情と、時に見せる不器用さを自然体で演じ切っている。ウィルに「お前が毎日俺の家の前にいなくなってくれるのを願っている」と語るシーンは、友情の本質を突いた名台詞であり、アフレックの演技がその感動を増幅させた。共同脚本家としての視点も、キャラクターに深みを与えている。
• ミニー・ドライヴァー(スカイラー役)
ウィルの才能を愛し、彼の心の壁を壊そうとする恋人。ハーバード大学の学生であり、ウィルとは異なる世界に生きているが、純粋に彼を想う。ドライヴァーは、ウィルへの愛情と、彼の過去への戸惑いを繊細に表現。ウィルとの関係性の進展を通じて、物語にロマンティックな要素を加える重要な役割を担っている。
脚本・ストーリー
脚本はマット・デイモンとベン・アフレックが執筆し、アカデミー賞脚本賞を受賞。数学の天才が、才能を活かせずにいるという設定から、彼の心の奥底にあるトラウマを紐解いていく構成。物語は、友情、恋愛、そして師弟関係という3つの軸で展開され、それぞれの関係性がウィルの内面に変化をもたらす。特に、ウィルとショーンのセラピーセッションは、哲学的で示唆に富んだ会話が多く、単なるセリフ以上の深みを持つ。物語のクライマックスは、ウィルが自分の人生を自分で選択するというシンプルながらも感動的な結末。これは、才能だけでなく、人間としての成長を描いていることを示唆している。
映像・美術・衣装
映像は、ボストンの街並みをリアルに描き出し、物語に説得力を与えている。ハーバード大学の荘厳な建築物と、ウィルが住む労働者階級の街の対比が、彼の抱えるジレンマを視覚的に表現。美術と衣装は、登場人物の生活感を忠実に再現しており、特にウィルの質素な衣装や住まいは、彼の内面的な閉鎖性を象徴している。派手さはないが、物語の背景を丁寧に作り込んでいる。
音楽
音楽は、ダニー・エルフマンが作曲。しかし、この作品のサウンドトラックで最も印象的なのは、シンガーソングライターのエリオット・スミスが提供した楽曲群。彼の独特の哀愁を帯びたアコースティックギターの音色と、内省的な歌詞は、ウィルの孤独な心象風景と見事にシンクロしている。主題歌の「Miss Misery」は、映画のエンディングで流れ、物語の余韻をさらに深める。この曲はアカデミー賞歌曲賞にノミネートされた。
受賞歴
• アカデミー賞 脚本賞(マット・デイモン、ベン・アフレック)
• アカデミー賞 助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)
• アカデミー賞 作品賞、監督賞、主演男優賞(マット・デイモン)、助演女優賞(ミニー・ドライヴァー)、作曲賞、歌曲賞(「Miss Misery」)にノミネート。
作品
監督 ガス・バン・サント 139×0.715 99.4
編集
主演 マット・デイモンS10×3
助演 ロビン・ウィリアムズ S10
脚本・ストーリー ベン・アフレック
マット・デイモン
S10×7
撮影・映像 ジャン=イブ・エスコフィエ S10
美術・衣装 美術
メリッサ・スチュワート
衣装
ベアトリス・アルナ・パーストル A9
音楽 ダニー・エルフマン
主題歌
エリオット・スミス
S10
自分の殻を打ち破る
若き日のマット・デイモンの繊細な眼差しがたまらない
ずっと気になっていた映画。アンコール上映に飛びつきました。
2時間超えの対策ですが、全く長さを感じさせません。
登場人物全員がちょっと出来すぎに良い人なのがおとぎ話的ではありますがそれもまた一興。
見いだされた不遇の天才がテーマかと思っていましたがちょっと違っていました。
若者も、昔若者だった人たちも、それぞれに望んだものがあり、当然全てを手に入れられる訳もなく、なんとか現状と折り合いをつけている。
ラスト近くのベン・アフレックとマット・デイモンが車の前で交わす会話には涙が溢れます。
いかに辛くても自分のしたいこと、行きたい道を迷わず選んだスカイラーの格好いい事!
それが触媒となったように、終盤は様々な人々の人生が再び転がり始めます。
君のしたいことは何だ
君は少しも悪くない
ラストの選択は、長い煩悶を観てきた観客に爽快なカタルシスを感じさせます。
ところで、ジェリーの助手のトム。
彼がなりたかったのは何なのだろう!?
ないものねだり
チャッキー、いい友達だ マットデイモンが制作もしていることは知らな...
チャッキー、いい友達だ
マットデイモンが制作もしていることは知らなかった
もしあの頃見ていたら完全スルーしそうな、
その後身につけた知識がいくつもあった
あの頃じゃなく今これを初めて見て、
良かったと思う
ロビンウィリアムズもいなくなっちゃったし、
そんな意味でも感慨深かった
い〜〜〜〜〜い映画だ〜
教授の絶望
だいたい、数学者という人達は世界で最も頭のよい集団の1つだ。その中でもフィールズ賞をとる人なんて、毎年受賞者がいるノーベル賞とは比べ物にならないくらいの地球上での最高の頭脳の1人だ。その彼が(というかその彼だからこそわかる)我と彼の才能の差に気づいた時の彼の絶望感は察するに余りある。
(映画の中でのマット・デイモンはそこまでの天才には見えなかったのは少し残念)
フィールズ賞受賞者の広中平祐さんが、一般の人向けの講演で、「自分は頭が悪かったから、知識と経験と努力でそれを補った」と言っていた。謙遜とかではなく、真に広中さんが感じたことなのだろう。(実際に、彼が受賞したのは、ギリギリの39歳だし、本音なのだろうと思う)
ただ彼の言葉に悲壮感はなく、(もちろん時間が解決してくれた面も多少はあるのかもしれないが)、この映画の教授の姿とは随分差を感じた。
広中さんは、私たち普通の人間とは脳みその仕組みの違う生き物と言ってよい存在である。その天才達の中でも、才能の差というのはあるというのが、おもしろい。
数学者の人達はこの映画を見て、どんなことを感じるのだろう。
各キャストの演技が光る!
何度か見た映画ではあるが久しぶりに鑑賞。
ロビン・ウィリアムズ扮するカウンセラーの先生が主人公に対して言葉の節々に優しさや愛情、時に芯を食った事を言うので衝突が発生してしまうがそれも本気で向き合っているからこそ。
各キャストに個性があって要所で良い味を出している。
人に向き合う事の大切さを教えてくれてまた何年か後に鑑賞したくなるそんな作品です。
キャストが最高
何度か見ながら、やはり飽きない
今回、マット・デイモンがハーバードに在学していた、めっちゃ頭のいい人だと知って、更に驚いた
いやいや、宿題で書いた脚本を幼馴染と書き上げて
映画にしようと、まだまだ実績のない
若い役者2人が脚本賞て、普通に凄ない?!
ロビン・ウィリアムズも、めっちゃ好き!
アカデミー賞の司会やった時もめっちゃ好き!
貧民街で、仲間達と好き勝手②暮らし
その日暮らしの様な低所得者として
清掃員をしながら
けれど、知識を蓄える事と、それを実証する
欲求には抗えず、自分を持て余す20歳の青年
惹かれた女性との関係を築きたいと思いながら
愛を受け入れる事に臆病で、抜け出せない
全てが薄っぺらで、未来を構築する事を
思い描く事が出来ずに、反発と言葉の武装で
何もかもから目を背けて、自分にとって
一番楽な生き方を変える事が出来ない
ストーリーの全てから
自分を解放したい欲求が溢れ出ている感じ
一つ一つの言葉を拾い上げで、玉葱の皮を剥くように
ショーンが手を差し伸べて行く
そして、ダラダラとたむろっていただけと
見えていた親友が、そっと、けど真剣に誠実に
背中を押して、彼の人生は変わっていく
いやー本当に、いい俳優がてんこ盛り
型にはまった仕事では、ウィルの人生は
きっと飛躍しなかったと思う
すげー仕事して欲しい!!
みんな、見てなかったら見てほしい
人生の名言集
当時ほとんど無名だった若手俳優2人がアメリカの主要映画賞で脚本賞を2つ獲得した作品。
本当に脚本が良くて、「名言」と言えるような台詞がいくつも、自然に、さりげなく出てくる。
「君は完璧じゃない。女の子も完璧じゃない。でも問題はお互いにとって完璧かどうか」
「君は何を聞いても、ああ言えばこう言う。でも「自分が何をしたいのか」 という簡単な質問に答えられない」
「お前は宝くじの当たり券を持ってるのに、それを現金化する度胸がない。皆が欲しがってるのに、それを無駄にするなんて許せない」
コンフォート・ゾーンから出られないウィル。彼の特異な過去と才能がそうさせているということを描きたいのではない。これは私たち皆に当てはまる話だと気づかされる。
共に脚本を仕上げたマット・デイモンとベン・アフレックは自然体の演技も清々しい。
しかし、この作品でもっとも演技が光っていると思うのは、ロビン・ウィリアムズ。辛い過去を背負った聡明で落ち着いた精神科医。知性とユーモアと、懐の深い人間味が全身から滲み出る。
そして、ウィル(マット・デイモン)とショーン(ロビン・ウィリアムズ)のセラピータイムが週1回、きっかり1時間なのがいい。回を重ねる度に段階を追って2人がわかり合っていく様子が見て取れる。ダラダラしないのが作品にリズムを与えていると思った。
この映画の珠玉の名言たちは、これからも色あせることなく、人々の心に光をあてつづけるだろう。人生の名言集のような映画。
彼が天才である必要はなかった
常人離れした頭脳で活躍する天才は他にもいる。
「プリズン・ブレイク」のマイケル・スコフィールドや、「スーツ」のマイク・ロスのように、彼らは圧倒的な頭脳で困難を次々と打開し、観る者を爽快な気持ちにさせてくれます。
けれど本作は、同じように天才の若者が主人公でありながら、問題をスマートに解決していく物語ではありません。
彼が生きていくために身につけざるを得なかった“鎧”を、少しずつ脱いでいく過程が丁寧に描かれています。
その鎧は、大人たちが彼に着せてしまったもの。だからこそ、脱がせてあげるのもまた大人の役目。
この物語の本質は、“天才”という設定そのものではなく、人生の一歩を踏み出そうとする若者に対して、大人がほんの少し手を差し伸べる——その温かさにあると思います。
透明感のある映像をもって爽快に綴られる青年から大人への道程
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