劇場公開日 2002年8月23日

ファム・ファタール(2002) : 映画評論・批評

2003年8月15日更新

2002年8月23日よりみゆき座ほか東宝洋画系にてロードショー

2度見てこそ真価を発揮する大胆不敵なノワール

あれ?デ・パルマにしてはおとなしくないか。確かに、いかにも彼風の悪女ものだし、そっくりの女も登場し、偶然撮った写真が人生を狂わす等デ・パルマ的ではある。しかし、得意の長回しもなく、スプリットスクリーンも写真のコラージュが代弁しているくらい。めくるめく、という表現がふさわしいデ・パルマ・タッチは影をひそめている。

ところが、最後を迎えて映画は思わぬ方向へと向かい、彼の意図したことがやっと見えてきた。いや、ちがう、本当に見えてきたのは2度目から。デ・パルマは2度見てからこそ真価を発揮する、大胆不敵なノワール・ムービーを作ってしまったのだ。

だから、もしこの映画を楽しみたいのなら2度見ることをお勧めする。いたるところに伏線がはられ、いたるところにヒントがちりばめられているから。このパズルが自分のなかで完成するのは2度目以降なのだ。そして、そのパズルが完成したとき、こう思う。そうか、今度のデ・パルマは映画全部にトリックを仕掛けたんだ、と。

今回のトリックは映画だからこそ出来るもの。小説や舞台では絶対に不可能だ。映画を愛し、映画を知り尽くした、やはりデ・パルマらしい作品だったのだ。

(渡辺麻紀)

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