エクソシスト ディレクターズ・カット版のレビュー・感想・評価
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オカルトホラーの原点
小学生の時、オリジナル版を家族で(笑)劇場に観に行ったが、その時の記憶はほとんど無かった。なのでほぼ初見で、ディレクターズ版については本当に初めて観た。
オープニングで思ったのは、所謂ホラーというよりかは、後のスピルバーグに通じるデビッド・リーン的なアメリカ映画の古典性、そしてベルトルッチに近い優美なキャメラワークである。こうした姿勢は本作に一貫しており、現代の多くのホラージャンルにおけるジャンプスケアの多用や、性急なカット割と対照的でかえって新鮮な驚きを感じた。
ところでほとんど記憶がないとは言うものの、昔観たオリジナル版では悪魔に取り憑かれるリーガン(リンダ・ブレア)が、これほどまでに医者による徹底した「治療」を受けてなかった気がする。この辺りの演出はダリオ・アルジェントの持つ現代におけるオカルトなるものについての言及と思われた。また、ポルターガイストシーンはまんまスピルバーグの「ポルターガイスト」に繋がるし、この作品が現代ホラージャンルの定番と言われるのもよくわかる。
惜しむらくは、冒頭とラストシーンの冗長さと、個人的に思い入れあるマイク・オールドフィールドの音楽の使い方だが、これもディレクターズ版故の混乱なのかもしれない。ウィリアム・フリードキン監督と原作ピーター・ブラッディとの確執も聞くが、自分には良くわからない。
「エクソシスト3」はブラッディによるもので、黒沢清も影響されたと聞くからいつか観てみたい。
私にとっては最高のホラー映画
簡単にホラー映画と言ってしまっていいのかな?と思うくらい、私の中では最高の映画。
あの音楽も独特で、幸せな親子に忍び寄る不穏な出来事をまさに象徴している。
最初、イラクの発掘現場でバズズ像を発掘、バズズ像との対面、そこに合わさる犬の喧嘩シーン。時間的には短いけど、こういうシーン挟むあたり作りが丁寧だなーと思う。パズズとメリン神父の因縁を感じる。
なかなか悪魔祓いの儀式までいかず、どっちかというと医学的にリーガンを検査する時間が長いので、悪魔祓い目的で鑑賞してる人には退屈かも。(でもその検査シーンも昔流なので、なかなかエグい)
ただその検査で身体的な異常がない事が証明され、ここで初めて悪魔憑きの流れになるので、大事な工程かなぁとは思う。
軽く10回以上は鑑賞してるけれど、何度観ても飽きが来ない。
鑑賞動機:往年の名作を今こそ観てみよう10割
文化的な背景と関連した精神疾患は現象としてはあるので、例えば日本だったら狐憑きなるのかもしれない。
スパイダーウォークやら首が回転するやら、気味の悪い描写が印象的だけど、親子の幸せな日常やカラス神父の苦悩など背景描写にも時間を割いているのと、あれこれ試してもダメでどうしようもなくて…と段階踏んでいるところにリアリティを感じる。
その分ゆったり進むしグロテスク方向はおとなしいので、物足りなさも覚えた。
あと、バークさんに好感持つ要素なかったので、「ふーん」としか思えなかったのだけど。
“今や「マスト!」と言われ続けていることに違和感!…”な映画
この作品の公開当時はまだ子どもでしたが(もちろん観に行けませんでしたが)、すごく話題になっていたのを覚えています。予告編もテレビでやっていたのを観た記憶がなんとなくありますが、あの“180度1回転”の映像まで見せていたのかどうかはハッキリとは覚えていません。恐らくこの作品を初めて観たのはテレビが初めてだったと思いますが、公開からどれだけ経っていたのか?…超自然的なものがよく分からず、神父までなぜ死んでしまったのかよく分からず、モヤモヤした記憶があります。しかし、多くの人がそうだったように、悪魔に取り憑かれたリンダ・ブレアーが凄すぎて…細かいストーリー展開とか全然気にならなかった…(当時、個人的に圧倒的に怖かったのは、クリストファー・リー演じるドラキュラだったが、この作品は予告編からしてなんか“リアル”だった笑)。
で、今やこの作品…全ホラー作品の中でもかなり評価の高いものになってるんですが、個人的にはちょっと違和感ありです。この手の作品は、長い間結構ゲテモノ扱いで、あまりまともな評価なんてされて来なかったと思うんですよね。
公開当時は、世界的に超能力ブームで心霊写真なんてのも流行っていて(ネッシーも!)、テレビと雑誌と新聞ぐらいしか情報源のなかった時代、もしかしたらオバケとか未知の生物や“あの世”なんてものが存在するかも知れない…なんて、今よりももっと信じられていた時代だったと思います(マスコミに煽られるがままです笑)。世間的にも、爆弾テロにハイジャック、銀行強盗、誘拐事件、公害や薬害事件などなど、不安で不穏な出来事がもっと多かった…。
そんな時代にこそ嵌(はま)った作品だったと思います。みんなの怖いもの見たさに見事に嵌ったなぁと…(その後の『オーメン』の首チョンパも話題になりました)。
元々映画作品としての質が高かったから、この作品は生き残ったのでしょう。しかし、あの時代の不穏な空気感があったからこそ、一層記憶に残るものとなったと思います。
「兆しの恐怖」を味わう映画だったのか
「午前十時の映画祭」で鑑賞。
有名な作品なので内容はなんとなく知っていたけれど、まさかアザーン(イスラム教における祈りの時間を知らせる呼びかけ)から物語が始まるとは意外でした。
時間をかけてじわじわと観客を追いつめていく手法と手腕はさすがだと思いました。
けれども、「怖さ」ということで言えば、それほど怖くなかったです。
不気味だけど、怖くない。
汚物を吐くところなんかでは、笑ってしまいました。
たしかに面白く、見応えじゅうぶんでしたが、前半、人物の関係が少々わかりにくかった。それから全体を通して見たストーリーの繋がりにもわかりにくいところがありました。もう一度ていねいに鑑賞すれば、それらのもやもやがスッキリするのかもしれないですね。
――と、こんなふうに映画の感想を書き終えてから、ほかの方のレビューを読んでハッとさせられました。
僕はリーガンのシーンに着目しすぎていたようです。本作は「兆しの恐怖」を味わう映画だったのですね。そこのところの意識が足りませんでした。
相変わらず自分のものの見方は浅いな、と今回も反省です。
事実は闇の中、今も封印されている
世界にオカルトブームを巻き起こした名作!
ホラーベスト5にも入れている名作映画です。しかし、当時子供の頃にはこの映画を観た時は、オカルトという映画にトラウマを感じた作品ともなりました…。
懐かしく当時を振り返ると、最初の上映時はまだ産まれていない時代でしたので、たしか中学の頃くらいにに今では懐かしいビデオテープをレンタルして観た記憶があります。その後に本作のディレクターズカット版が映画館で上映するということで観に行きました。が、怖い怖すぎる。何度観ても怖いのです。前述したように衝撃の映像のオンパレードで途中で映画館を抜けたい気持ちになるほど…。もぅ涙目です。。。
ですが、この映画への感想があるときから変化していきました。割といい大人になりホラー映画にも耐性が付いてきた時に、改めて鑑賞したのですが、単純に怖いだけのホラー映画と語れない感じるものがあったのです。
少女救うため命を張る神父達と母親の姿。少女を助けることが出来ない自分達の力に苦悩しながらも自らの力を信じ戦い続けます。母親からしてどうしようもない少女を命を懸けて救おうとしている神父たちがどれほど心強かったことでしょう。しかし少女にとり憑いた悪魔は、あざ笑うかのように悪態をさらけ出し続ける…。ほんと憎たらしいしいのです。
そして…神父の悲しい結末…もう何とも言えません…
監督はこの映画をホラー映画と単純に片付けて欲しくないといいます。恐怖に克服して映画の本質を知ることができた今はそのメッセージが伝わりました。怖いものに命を懸けて立ち向かう人達の姿、少女に関わる周りの人達の苦悩の日々を描くことで、人間ドラマの一面を持っているのです。まさしく本作が特別に高い評価をされる所以ではないでしょうか。
伝説のカルト映画と言われるのには訳がある気がします。
日本にオカルトブームを巻き起こした衝撃作。 原作兼脚本のウィリアム・ピーター・ブラッティと監督のウィリアム・フリードキン執念の完全版!
午前十時の映画祭13にて。
この“ディレクターズ・カット版”の公開は2000年とのことだが、私は勤務先の後輩と劇場に行った記憶がある。
リンダ・ブレアが演じる少女リーガンのブリッジ背面歩行(スパイダーウォーク)が追加されたことが、宣伝のポイントだった気がする。
遡って、オリジナル版が日本で公開された1974年は私は小学生で劇場には入れず、初鑑賞はテレビの洋画番組だった。(※)
悪魔祓いの場面は案外短く、病院での検査が延々と映し出される。オリジナル版ではカットされていた初期の検査シーンも復活しているから尚更だ。
もっぱら恐怖映画の代表作に位置付けられている本作だが、難病と闘う人間ドラマだとも言える。
少女リーガンを襲う症状は尋常ではなく、医学的な解明ができない。途方に暮れた医師団が悪魔祓いを奨めるという驚きの展開に、母親(エレン・バースティン)は当然激昂する。優秀な医師たちが雁首そろえて出した答えがそれか…と。
しかし、科学者(医師)たちが非科学的な方法に頼ったわけではなく、悪魔を追いはらったという暗示の効果を期待した苦肉の策だというのが、あり得ないがリアルだ。
ここでは母親の悲嘆と怒り、医師団の無力感が描写されている。
母親は有名な女優。裕福で交友範囲も広いが、娘をめぐって別れた夫との言い争いが継続している。
医師団の提案を拒絶したものの、その後の娘の症状の異様さから悪魔憑きだと確信する。
カラス神父(ジェイソン・ミラー)は、教会の資金援助で医師の資格を得ているが、神父として多額の報酬を得ることはできず、遠く離れて暮らす年老いた母親のケアができない。教会と私生活との板挟みで、信仰心に揺らぎが見られる。
医師でもあるので当初は悪魔祓いに否定的だった。
メリン神父(マックス・フォン・シドー)は、悪魔祓いに精通しているベテランで、参加していた発掘調査の現場で発見した悪魔の像が恐怖の予兆だと直感していた。
深刻な心臓の病気を抱えている。
少々ひねった見方をしてみると、こうだ…。
この映画の結末は、カラス神父が悪魔を自分に呼び込んで自分もろとも葬ったのか、悪魔がカラス神父に乗り移って彼を殺したのか、どちらにも解釈できる余地を残している。
が、そもそも悪魔はいなかったと解釈できる余地も残していると言えないか。
母親やカラス神父が悪魔の仕業だと確信するほど、リーガンの症状には超自然の作用が見えるし、ポルターガイスト現象なども起きている。
たが、リーガンが知らないはずの事実を喋ったり、知らない卑猥な言葉や不明な言語を発したのには苦しいながらも説明がついていた。
ベッドが触れたり身体が宙に浮いたりする現象は、ダイアー神父(ウィリアム・オマリー)やキンダーマン警部補(リー・J・コッブ)の目の前で起きたわけではない。
病院の検査で医師に対して男の声で罵ったり、同居の使用人が目撃したりはしているが。
つまり、リーガンは原因不明の精神疾患から身体に異常が出ているが、超自然的な現象は心に闇を抱えた者だけが見た幻覚だったのではないか。
リーガンが回復したのは、医師団が期待した暗示効果によるものだったのだ。
さぁ、どうでしょ!
多くの人が指摘しているが、カラス神父がリーガンの言葉を録音したテープを聴く施設に「TASUKETE!」と書かれた貼り紙がある。このあと、リーガンの腹部に「HELP」という文字が浮き上がってくる場面に続くので、どういう意図なのかと話題になった。だが、その部屋には明らかに日本の文字(を模した)の「?うより慎れよ」という意味不明の貼り紙もある。
映像に怪奇現象が映り込んでいるという噂もあったが、フリードキン監督がサブリミナル効果を狙って細かいカットを挿入したりしている。
日本語の貼り紙もフリードキンの遊びなのだろう。東映ヤクザ映画のファンだったらしいので。
※私の記憶が確かなら……
オリジナル版の公開時はかなりの話題だった。アメリカでは原作小説がベストセラーで、映画化された本作もヒットしていたから配給側の期待は高かっただろう。かなりのパブリシティが展開されていたと思う。当時の小学生にとってはテレビが最大の情報源だったから、テレビで頻繁にとりあげられていたのだと思う。
ところが、私の郷里では12歳以下入場禁止のローカル・レーティングが適用され、劇場で見ることが叶わなかった。非常にガッカリしたのを覚えている。観に行った母親から感想を聞いたことを覚えている。
テレビ放映は、調べてみるとTBSの1980年が最初らしい。ということは、荻昌弘氏が解説する月曜ロードショーだろうが、意外と遅かったのだ。このテレビ放映も注目を集めていて、学校でも話題になっていた。思えば高校卒業目前だったのだが、これも記憶では中学生くらいだった気がするのはなぜだろうか。
1980年といえば、かの『13日の金曜日』が発表された年だ。オカルトブームは映画から離れてサブカルチャーのジャンルの一つになっていて、映画界は間もなく空前のスプラッターブームを迎えるのだった。
数十年ぶりの鑑賞でこのバージョンは初めて
闇の中からじっと覗いている
オジサン涙目でした。オリジナルは子供の頃にTV放映で観たかな?位な感じ。それでも、超が付くメジャータイトルなので知ってるつもりが満ち満ちでしたが、全く印象の違う作品でした。どうやら色んなものが脳内合成されていたのだろう…笑。
思いの外本題に入るのを出し渋ってる展開でしたが、母親と娘ちゃんと神父&神父其々が心の闇に抱えてるモノをボンヤリと見せてくれたので、後半に至る頃には完全に世界の中に閉じ込められた感覚に陥っておりました。ひたすら淡々としているのに、要所要所でめっちゃ怖い。監督が"怖すぎるからダメ!ぜったい"と言っていたのが分かる「ディレクターズカット版」になっておりました。フリードキンおそるべし。
70年代は作りが超丁寧
終活のため午前10時の映画祭鑑賞。
出だしのイラク発掘現場も怪しい感満載。
リーガンが徐々におかしくなっていくのと
カラス神父がオカンの死でトラウマになるのが
並行して映し出され
当時の最新病院機器での検査風景(現代はもっと痛くないよね)
が入り込んでくる。
で、いよいよ悪魔的所業開始。
バックドロップしながら階段を下ったり
クビが回るし、おしっこ漏らすし、ゲロ吐くし
リーガンのオカンをひっぱたくし
(このシーン迫力出すためにピアノ線をエレンバースティンに
くくりつけ、監督のフリードキンは操演者に死ぬ気で
あの女を引っ張れ、と指示。
絶叫とその後の痛そうな芝居はマジだったわけです)
そういったショッキングな描写と対照的に
医者に卑猥な言葉を浴びせる
カラス神父オカンの病院行きと死
謎を呼ぶ殺人事件
などは具体的表現を避けセリフだけで終わらせメリハリをつける。
ここまであらためて観ても息をつく暇がなく
メリン神父登場は残り試合30分(ここまで100分かかった)
悪魔付きリーガンのアップだけでいよいよ決戦!を盛り上げる。
テーマ曲チューブラーベルズはこれぞ映画のテーマ曲
といえる決定版。(映画のためのオリジナルではないが)
ディレクターカット版は2000年にも見たが
初回上映1973年からちょうど50年
拙も年をとったもんです。
100点
京都シネマ 20230925
名作!!僕には程よい「怖さ」だった。
僕はホラー映画は好きではない(夢に出てくると嫌だから)ので滅多に観ないのだが、何故だか今回は気が向いて劇場に足を運んだ。
映画に出てくる呪われた少女は基本ベッドにくくりつけられて動けないので、人間に対してそんなに積極的に悪さはしない(少女がするのは家具を揺らしたり、緑色の液体を吐きかけたりするくらい)ので、ゾンビやジェイソン、チャッキーに追い詰められるような怖さは無かった。
(どちらかといえば、病院で色んな器具を使って少女を検査をするシーンの方が怖かった)
とはいえ、それでもこの映画が上映された当時、この映画を観た人が感じた恐怖の大きさは想像できる。音楽も特撮も呪われた女の子の演技も凄かったから。
ちなみにこの映画を観る前は(過去に1度くらいは観たことあるかな)と思っていたけど、今回が全くの初見だった。どうやら「ポルターガイスト」を観た記憶と混同していたようだった。
エ・ク・ソ・シ・ス・ト〜
元祖にしてリアルで怖い
思ったほど怖くない
以前に見た時は震え上がるほど怖かった記憶があるのだけど、年老いて図太くなったのか、身構えすぎていたのかさっぱり怖くなかった。また、悪魔祓いがたっぷり描かれるかと思っていたのだけど、医学的な検査がたっぷり描かれる。悪魔祓いが始まるのは3分の2くらい経過してからだ。
背面で階段を下りる場面は昼間だし、夜の印象が強かったのだけど、けっこう昼間だ。360度首回転は2回ある。
悪魔祓いが済んだ後のラストシーンで縫わなければならないような顔の傷がちょっと赤くなっているだけにまで治っていた。
ひたすら気持ち悪かった
エソシスト(73)に15分間の未公開シーンを追加したディレクターズ・カット版との事。
一人娘リーガンと暮らす女優・クリスの家では屋根裏から不気味な音が聞こえたが原因がわからなかった。そのうち、リーガンが奇妙な行動をとるようになった。ベッドが激しく揺れだし、リーガンの部屋だけが異常に寒いなど謎の現象も起こるようになった。クリスが友人達を家に招待してる時に、リーガンが、客に汚い言葉を吐き、立ったまま放尿した。リーガンを病院で検査しても原因がわからず、そのうち、自傷行為を起こしたり、激しく揺れるベッド、そこから浮かび上がったりと、怪奇現象が起きた。悪霊に取り憑かれたリーガンはどうなる、という話。
50年前の有名な作品だが、観たことあるかどうかもうろ覚えで、ほぼ初観賞同様の状態で観た。
感想は、とにかく気持ち悪かった。黄緑の汚物を吐くのが気持ち悪く、リーガンの顔つきが気持ち悪く、リンダブレアの怪演に尽きる。
数々の気持ち悪い作品を観てきたが、50年前のこの作品は今でも気持ち悪さは一級品だと思う。
そういう意味でも名作なんだろうと思う。
悪魔払い映画の基本
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