「愛する人のクレメンタインになりたい」エターナル・サンシャイン ぽちゃ子さんの映画レビュー(感想・評価)
愛する人のクレメンタインになりたい
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ロマンチックラブというより遥かにSFだった。
『トゥルーマン・ショー』と『インセプション』と『マトリックス』を混ぜたような世界観。
クレメンタインの記憶を消されまいと、夢の奥深く奥深くと逃げていくジョエル。
クレメンタインにも話したことが無かった幼い日の記憶の中にクレメンタインを隠す。
そのクレメンタインはすべてジョエルが思い描く想像のクレメンタインに過ぎなくて、でもそれはどれも彼女らしく奔放で勇敢に振る舞う。
思春期の自慰行為を親に見つかってふさぐジョエルをクレメンタインが笑い飛ばす。
いじめっ子に脅されて殺したくもない鳩を殺す羽目になり、大泣きする幼いジョエルを、幼いクレメンタインが救い出す。
『私がいれば全部大丈夫』
私も、愛する人のなかで彼を守るクレメンタインとして記憶されたい。幼い彼の辛かった日にワープして、彼を強く強く抱きしめてあげたい。
と願う、そんな映画だった。
映画冒頭の『記憶を消した直後のジョエル』と、『クレメンタインと長く過ごしている時期のジョエル』の演じ分けにも意味を感じる。
冒頭のジョエルはつまらなくて、空っぽで、語彙力が無くて、魅力に欠ける。
でも、クレメンタインと居たときのジョエルは生き生きと愛を語っていた。
ジョエルは知らずとクレメンタインの影響を受けていたのに、記憶が消されるだけでそれがリセットされるのが面白い。人格は記憶によって作られてるんだ。
記憶を無くしても、何度も出会い直してしまう人がいる。きっとジョエルとクレメンタインはまた上手く行かなくなる。だからまたやり直せばいい。
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