劇場公開日 2025年12月19日

「そこには「可能性」しかなかった」マチルダ 悪魔の遺伝子 Akiさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 そこには「可能性」しかなかった

2025年12月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

12月22日、池袋シネマ・ロサ。
ここで目撃したのは、単なる新作映画の上映ではなく、映画制作の「特異点」だったのかもしれません。

遠藤久美子監督による、映像・音声・演技のすべてを生成AIのみで制作した長編映画『マチルダ 悪魔の遺伝子』。

鑑賞後の率直な感想は、一言。
「可能性しかない」。

これまでの映画の常識を軽々と飛び越えていくような感覚。AI特有の揺らぎさえも、この作品においては「悪魔の遺伝子」というテーマと共鳴し、不気味で美しいリアリティを生み出していました。

「物語が降りてきた」瞬間さえも、AIの領域か

印象的だったのが、「ある日、ストーリーが降りてきた」というエピソード。
20年以上前に監督の中に“ダウンロード”されたという物語が、今のAI技術によってようやく出力(アウトプット)されたという経緯には、鳥肌が立つような運命を感じます。

スクリーンに映し出される圧倒的な世界観を見ていると、どこまでが人間のイマジネーションで、どこからがAIの演算なのか、その境界線が溶け合っていくような不思議な感覚に陥りました。監督の脳内にあるイメージを、AIが恐ろしいほどの解像度で具現化したあのシーンの数々は、まさに「脳内データの直接出力」を見ているようでした。

続編への期待

この作品は、終わりではなく「始まり」だと感じます。
エンディングを迎えた瞬間、頭に浮かんだのは「続きが観たい」という思い。

AI技術は秒進分歩で進化しています。もし続編が作られるとしたら、今の技術をさらに超越した、私たちが想像もできないような映像体験が待っているはずです。

「俳優もカメラも使わない映画」が、ここまで人の心を揺さぶる。
映画制作の民主化と、その先にある無限のクリエイティビティ。
『マチルダ』は、そんな未来の扉をこじ開けてくれた作品でした。

Aki