「おい、父親!」THE END(ジ・エンド) 満天さんの映画レビュー(感想・評価)
おい、父親!
父親の非合法臭がとにかく凄い。
(ティルダの実年齢上の推定で)けっこう年上の妻とは、どうやって知り合って結婚したのか捜査したくなる。妻の昔の写真が、一目で性格が一変してるのが判るのだ。ずっと何かを盛られてるような、辻褄がやや合わない感じがして、ただならぬものを感じる。
息子は体格はいいが、なんとなく幼さが残り、さらに回顧録作りで洗脳されている模様。ひょっとして父親に都合よく生まれる前からデザインされてない…?なんてね。あーこわい。
父親は、トップレベルの石油系財閥の経営者だったらしい。世界がどうやって滅んだのかの真実や確証そのものに近い立場にいるようにも描かれている。
そういう恐怖の白人の大王みたいな人間が、人生そして人類最後の花園?で、いかに心安らかに生き長らえるかに特化した豪奢なリゾート型地下シェルター。
まあ生命維持設備その他もろもろの維持管理も大事だけど、それより人間とりわけ家族の保守管理に係るコダワリ、余念のなさ、これがもうね、恐ろしいわけですよ。
そんな父親もこんな暮らしには当然だが煮詰まる時があり、自殺衝動と思しき場面がある。坑内にある、なにかの結晶でできた築山みたいなのにおもむろに登っていき、ひょいと身を投げる。あっ、死んだ!と思った次の瞬間、ビル・マーレイそっくりの執事がすぐさまとんできて本人が陰から顔をだす。こっちは客席で変な声だしちゃったわwあのシーンはなんだったんだw
あっそうか、ギャグだったんですね。こんな環境を作ってまで自分だけはと長年生きてた人間が自殺なんかするわけないよねっていう。
つかあの築山は、人工物だとしたらなんのためにあるの?ただのボタみたいなもんですか?それとも、まさか何かの隠れ蓑?
そんなこんなの腸閉塞に閉じ込められたビフィズス菌みたいな話、誰が観るの?てなものだけど、踊りは少なめだが歌曲は粒ぞろいで美しく儚い。チケット代は名優揃いの歌声たちに捧げたと思って悔いはない。メロディーに全集中してたのでオッペンハイマー監督が書いた詞を気に留められなかったが、物語に絡ませた内容だそうだ。
自分ごときの感想は、人々の思考停止が、最後にどれほど残酷な孤独を生むかってことでしょうか。または、人類史上最大級の加害者と同居する被害者家族の風景…?いや、ないなw
ブロナー・ギャラガー・・・北アイルランドの北林谷栄さんといったところか、などと思いつつ出演作も調べてみたら、なんとザ・コミットメンツにもでてただと!?うわっ顔思い出した!!!?
なんか同窓会みたいな気分になれて得したわー。小さな思い出になってくれていて、どうもありがとう。
最初に非合法臭と書いてしまったが、そういえば「法律」も「警察」も終わってる世界の話でしたね。ひとびとを見守る玉座には「習慣」だけが座っている。あの黒人少女は、その習慣を超えることで他人のいる所へ行くことができた。あんがい、あの世界にも人はそこここに偏在しているのかも。テーマを再度考え直して、他人を信じる勇気を持とう。にします。そうなれば、まだ孤独は怖くない。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
