ただ、やるべきことをのレビュー・感想・評価
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それをどこかでニヤニヤと見下ろしている人
これは、サラリーマン生活を送った人ならば誰もが胸が痛くなる映画です。韓国の中堅造船会社で働く入社4年目になる男が、人事部へ異動になった途端、リストラ対象者のリストの作成を命じられるというお話です。確かに会社の業績は停滞しており、債権者グループから受けたリストラ圧力には何らかの対応が必要です。でもその結果、これまでお世話になった前の職場の上司や、家庭の事情を抱えた友人の首も斬らねばならないのです。
物語が淡々と進むだけにそのリアルさが胸に迫ります。退職を迫られた現場の工員が、
「お前が俺の仕事の何を見て来たと言うんだ」
と激高する気持ちも分かるし、同じリストラ担当の人事部員が心を閉ざしてまるでロボットの様に粛々とリスト作りを進める気持ちも分かります。
そもそも、昔は「首切り」と呼ばれていたのに、いつしか「人員整理」という行儀のよい言葉になり、それが更に「リストラ:restructuring」と英語になっても、遣っている事は何も変わってはいないのです。
お話を追う内に、「自分がリストラする側だったら」「リストラされる側だったら」とつい考えてしまいます。でも、そこでふと気が付きました。その様に多くの人が我が身に引きつけて思い悩む事は、或る人にとっては思う壺なのではないでしょうか。その人達自身は傷つく事なく、そうして思い悩む人々をニヤニヤしながら見下ろしているのです。でも、その「或る人」というのが本当に人なのか、組織なのか、仕組みなのか僕にはまだはっきりと見えません。
何だかモヤモヤするけど、騙されないぞぉ~。
厳しい現実の縮図!!
リストラする者、される者それぞれの痛みが観客の胸をえぐります。
単に立ち位置を二分するだけでなく、いずれの側に属する人も個人ごとに抱える事情や経歴を丁寧に描くことで、同じ立ち位置であってもその痛みは人により異なることをきめ細かに描いています。
登場人物それぞれの痛みには苦痛を覚えるほど共感しました。
けれど、リストラされる側の人々の反応に私は疑問を感じざるを得ませんでした。
恐らく、かつては盤石の地盤をもつ大企業であったという設定なのでしょうが、どのような名門企業であってももはや沈みかけていることが明白な船に必死にしがみつく姿に賛同出来ないからです。
自分自身、半生を一企業に捧げた経験が無いためかも知れません。
ライフステージやその時の状況に応じて転職しつつキャリアアップするという選択肢は無いのかな、という違和感を感じました。
こういうテーマの映画ってこれまで無かった気がします。
楽しいとか、和むとかいうものでは無いですが、興味深い設定で丁寧な感情描写を描いた素晴らしい作品でした。
魅力的なキャラが大勢登場する中で、ソン代理がひときわ光って見えました。
すべての企業人よ、刮目せよ。
私の中ではあまり評価が高くなかった韓国映画だったが、いきなりトップに躍り出た。
通常は「かなり良い」に★4を付け、リピートして観た場合は4.5にする私だが、これは例外的に最初から4.5を付けたい。
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原題は「그저 해야 할 일(クジョ ヘヤ ハル イル)」、邦題はほぼこの通りの直訳である。正しい邦題だと思う。
何よりも大変感銘を受けたのは、いわゆる企業モノのドラマにありがちな、ドラマチックな事件や権謀術数に満ちた権力闘争、そこに陥れられたヒーローの苦難と、やがて胸のすく反撃・・・などという物語では全くない、ということだ。
構造不況の中で業績が悪化し続ける中堅造船所。
債権団から強硬に求められた希望退職やリストラによる人員整理を実行しなければならない、たった5人の人事チームで、資材部から異動してきたばかりの若手社員でチーム最年少のカン・ジュニ(チャン・ソンボム)は、家族のように可愛がってもらっていた以前の上司でさえ人事部員として対象者に選ばなければならない事態に直面したり、急遽担当した希望退職対象者との面接で罵声を浴びせられたり、理不尽な上層部の方針転換に鬱々と耐えたり・・・。
このチャン・ソンボムの演じる苦悩と疲弊がともかく良い。
韓流俳優っぽくない顔立ちで、スクリーンを観ながら私は「韓国の染谷将太」と渾名を付けた。もちろん演技力の高さも相俟って。
彼に限らず、人事チーム長、担当部長、直属先輩の次長、事務の先輩女性、カンの婚約者等々のすべてが、一流の演技を見せていたと思う。心から敬服する。
私事で恐縮だが、私もサラリーマン時代に管理職として、人事絡みで理不尽に苦しい選択をせざるを得ないことがいくつもあった(人事部ではなかったが)。
未だに後悔していることもあれば、自分の決断に疚しさなく背負っているものもある。
それでも、このようなギリギリの人事部門の苦悩ほど深くはない。
だから、途中から感情移入どころではない、ほぼ没入して観入ってしまった。
当然のことながら、韓国と日本では労働法制も違うし労使関係の慣行も違うだろう。公私を超えた同僚とのつながりや、激しい感情の表出や、自責の深さも文化的な違いがあるだろう。
しかしそれでもよく似ている。
本作は上に書いた通りいっさいドラマチックなことはなく、ひょっとしたら日本のどこかで実際にあったかもしれないと思えるほどの、ヒリヒリとしたリアリティを差し出してくる。
そのリアリティとは、「どこにも正解が見当たらない」という苦しさだ。
経営として見れば、他に手がないほど詰んでしまった時に、本当にどうすべきなのか。
働く側から見れば、冗談じゃない、生活はどうすれば良いのか。
その答の出ない問題がスクリーンを観ている私たちにも突き付けられ、迷わされ、人事チームとともに追い詰められる。
わずか101分の作品だったが、これほど胸が苦しく、エンドロールで呆然としてしまった映画はそうそうない。
お見事でした。
すべての働く人に観てほしい。
この会社の将来性はない
リストラはする側の人間もおかしくする
ポスターとかロゴのルックはソフトだけど、意外にも骨太のリストラ企業ドラマだった。
リストラをする側の人事部の若手を主役にして、彼のプライバシーである結婚間近の彼女との関係を描く。もう韓国映画、何撮らせてもこんなにうまい。
もうだいぶ前に主人公の彼と同様にリストラをする側の経験をしたことがある。自分が経験をしてるとフィクションが嘘くさく感じることが多いけど、本作はその頃を振り返って今でも思うことが外さず描かれており、めちゃくちゃ腹落ちできた。
だからこそ、グッと涙がこぼれることもあったし、隣のおじさんは、ボクよりすごくてラストカットで泣いてらした。
それは何か?
「リストラする側は会社が潰れると思ってない」
これだ。リストラが会社を救う正義だと思っている。だからこそ大切な彼女を二の次に休日手当なしでリストラ業務に勤しんでしまう。
リストラがされる方だけじゃなくて、する方もおかしくさせるということが描かれていることが重要だ。
最後に。リストラは会社がリストラしてると気付かせないうちに、社員に辞めてもらうのが双方にとって幸せだ。会社に辞めるように言われたのではなく本人の意思で辞めた方が立ち直りが早いだろう。
ボクがリストラに関わった時、辞めてもらった社員はリストラされたことに気づいただろうか? 会社はその後倒産したが、最後は給料さえも支払われなかった。
チャンソンボムの感情表現が秀逸!
主役のチャンソンボム、韓国ナムジャらしく台詞らしい台詞は決して多くはない役どころではあるが、エンディングまで見飽きることがない秀逸な感情表現に引き込まれました。申し訳ないことをした時に恥ずかしいと思う人柄に惹かれて主役と婚約した恋人の存在が主役の人物像を上手くイメージさせていたのではないでしょうか。アドレナリン爆発の韓国映画ではないけど、それも新鮮!
正論は禍根のもと
経営が傾き大規模なリストラを余儀なくされた造船会社で、人事部に異動してきた男の話。
資材チームから人事チーム異動して早々、人員整理が必要となり、初仕事で携わることになって行く。
あらすじを読んでいないと2016年の話しだということもわからないし、読んでいても、会社の規模や事情や何人切らなきゃいけないかも、その条件もわからない始まりで、何を見せたいのかイマイチピンと来ない序盤。
やっと話しがなんとなくみえてきて、主人公の機微をみる作品というのはわかったけれど、それにしてもそんなに人員整理を頻繁に繰り返す会社に残りたいものですかね…今では造船業は業績が回復したらしいけれど、そもそも労働者が業績に見合わない過剰な要求をする国ですけどね…。
主人公の人間関係とそこで生じる厳しい感情は良かったけれど、恥ずかしいという思いが自分にはまるで理解出来なかったし、もうちょい会社の背景説明が欲しかったかな。
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