「誇り高きロマ、外呼称の「再領有」」チャップリン YouKhyさんの映画レビュー(感想・評価)
誇り高きロマ、外呼称の「再領有」
「芸術は政治から独立し、自由であるべきだ」
とされるが、芸術は政治にとって“脅威”にもなりうる。
「排除」の対象になることも恐れず、表現し続けたチャップリンは、勇気ある知的な静的革命家だと思う。
ロマが誇り高き人々なのは知っていた。
字幕の「ロマ」という”正しい”言葉と、耳に飛び込んでくる他の呼称を使う誇らしげな声に妙な乖離を感じた。
ちょうど1カ月前に訪れたロマ文化博物館で学んだ「外呼称」という知識がよみがえり、強い違和感と同時に興味が湧いた。
家族があえてこの言葉を使っているのは、自分たちの物語を語るための言葉として、その呼称の中に宿るプライドを保持しようとしている「再領有」からなのだろう。
家族にとっては「誇り」として語り継がれてきた言葉が、現代のロマの人々にとっては傷つける言葉になっている。
このギャップは、不適切な呼称の問題がどれだけ複雑で、世代や地域によって認識が違うかを象徴しているようにも感じる。
日本語字幕で「ロマ」と訳されていたのは、日本でロマの歴史が広く知られていないことを考慮し、倫理的配慮などが働いた意図的な結果だろう。
しかし、家族が抱いていたはずの「誇り(再領有のニュアンス)」が、言葉の置き換えで消えてしまった可能性も否めない。
翻訳における倫理的選択という側面を突きつけられた。
noteで詳しく書きました
https://note.com/youkhy/n/n42f0ca0a38e8
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