ダスティの航空ショーのレビュー・感想・評価

車が生き物の様に暮らす世界を舞台にしたレース・アドベンチャー映画『カーズ』シリーズのスピンオフにして、レーサーに憧れる農業用飛行機ダスティの挑戦を描いた『プレーンズ』シリーズのスピンオフ短編。

強烈な臭いを放つ肥料「ビタミナマルチ」をアピールするため、航空ショーを開催する事にしたレッドボトム。スタント界のスター、エア・デビル・ジョーンズとヴァンデモニアムが出演するとあって大勢の観客が押し寄せるのだが、実際に姿を現したのはダスティとチャグで…。

『プレーンズ』(2013)と『2』(2014)の間の出来事を描いた短編。監督はディズニーのストーリーボード(絵コンテ)アーティスト、ダン・アブラハム。後にディズニー設立100周年記念作品『ワンス・アポン・ア・スタジオ -100年の思い出-』(2023)を監督する事になる男である。

ダスティとチャグ、そしてスパーキーが車体を張ってなんとかスタント・ショーを成功させようとする、非常に分かりやすいドタバタコメディ。飛ぶわ跳ねるわ火はつくわ、最終的にはウン…もとい肥料の彫像に突っ込んできたねえ花火を打ち上げるという、なんともテンションの高い短編である。こんな事してるからギアボックスが壊れちゃったんじゃ……？

映像面ではやはり本家『カーズ』シリーズ(2006-)の作品群には劣るが、ハイスピードなやり取りが観客を飽きさせない。
本作はアブラハムの監督デビュー作である。あのディズニーキャラクターが総出演する100周年お祭り映画も、この作品がなければ生まれなかったと考えるとなんとも感慨深い。隠れた佳作である。