ペンギン・レッスンのレビュー・感想・評価
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本音はペンギンにしか話せない
得てして物語の登場人物は、一貫性のある理解しやすい性質だけで描かれることが多いですよね。
この実話がもととなった『ペンギン・レッスン』の主人公トムは、色んな面を持ち合わせていて、捉えどころが難しい。
リアルな人間なのですね。
でも段々と、現実世界でその人のことが分かっていくように、トムに近づき共感していくことができる。
ファシズムと革命。
70年代軍事政権下のアルゼンチンでは、うつかり本音を漏らすと拘束されてしまう。
そうでなくとも、陰のある自分の本心はそうそう他人に晒せない。
現代ならSNSに匿名で書くのかもしれないけれど…動物に語りかける人は今でも多いのでしょう。
各人物とその関係性、背負う物語も色々で、見所の多い映画でした。
けれど個人的に最大の見所は、やっぱりペンギン!
どんなに重い話を聞かされようが、全く意に介さず(当たり前!)、ひょこひょこ歩き、階段もジャンプして昇降。超越した姿がたまりません。
南米のペンギンと言えばマゼランペンギンなのでしょうが、映画ではフンボルトペンギンが代役を務めていたようです。
日本にいるのもほとんどがフンボルトさん。
ケープペンギンも含めて、この3種は私も区別がつきません。
ちなみに私の一押しはアデリーペンギン。
最も邪悪なペンギンと言われたりします…そこもまた人間的で魅力的なのです。
ペンギンに好かれたらどうしようもない
ペンギンが可愛くて好きになる
実話だとか。ひょんなとこから飼いたかったわけでもないのに飼う羽目に。そして徐々に愛情、友情が芽生えていくストーリー。犬や猫ではよくある話し。
こういうのは大好きです。そして最後は泣ける。
やっぱり亡くなるのは悲しいですね。
でも、皆んなを幸せにしたペンギンに有難うと言いたい。
素敵な映画でした。
一にも二にも“聞き役”フアン・サルバドールの懐のデカさがあってこそ
今週は米国映画レビューサイトで評価が高い本作をチョイス。俳優としてのみならず、コメディアン・声優・プロデューサー・脚本家としても高い評価を受ける多彩な才能の持ち主・スティーヴ・クーガンが主演を務めます。
1976年、英語教師・トム・ミシェル(スティーヴ・クーガン)の新しい赴任先はアルゼンチン・ブエノスアイレス。当時、アルゼンチンでは人民革命軍による反政府活動が盛んになり、首都であるブエノスアイレスもそこかしこににきな臭さが伺えます。生徒は富裕層ばかりの名門寄宿学校において、イデオロギーをにおわせるような授業や言動は一切タブーと校長・バクル(ジョナサン・プライス)から忠告されますが、そもそもミシェルはどこかしら冷めた雰囲気があり、授業に集中しない生徒たちに対しても本気にはならずに見て見ぬふり。すると、間もなく軍によるクーデターが起こって学校も休校となり、不意の休暇にトムの選択は隣国ウルグアイへの逃避行。クラブでのナンパが功を奏し、いい雰囲気で女性と二人砂浜を歩いていると、なんとそこには重油まみれで打ち上げられたペンギンが…
如何にも英国紳士然としたトムに対し、生まれや立場が違う人々との微妙なズレに可笑しさを感じるも、トムにはどこかしらに隠し切れない捨て鉢な態度が見受けられます。そして現地では、その後「汚い戦争」と呼ばれる軍事政権下による“活動家”と見なされた者に対する誘拐さながらの逮捕など、不条理極まりない状況。外国人として不干渉を決め込むトムにも、一歩外に出ればちょっとしたことで銃を向けてくる軍人や、逮捕をチラつかせる役人の存在、さらには急速なインフレの波など無視しきれない状況。そこに突如自分の前に現れ、思わぬ流れで面倒を見る羽目となったペンギン“(ピーター改め)フアン・サルバドール”の存在を介すことで、徐々に周囲の人々との関わり方にも変化が起こり、胸襟を開いて話すことが出来、さらには自ら身を挺して言葉を上げるまでに変わっていきます。なお、公式サイトの情報によれば、ペンギンのフアン・サルバドールは主に2羽のマゼランペンギンが担当しているとのこと。可愛い容姿のペンギンは見ているだけで癒されますが、大変に利口さも伝わる名演技でしっかりと本作における“もう1羽の主役”として成立しています。
原作は主役のその人、トム・ミシェルによるノンフィクションが基となっており、ここで語られる「汚い戦争」に対する運動は今も続く現在進行形であって“知るべき事実”としても観る価値を感じた本作。終盤の展開には“予想外”の悲喜交々もあり、欧米での大ヒットも大納得の良作と感じます。大変為寒い日でしたが、クスッと笑えるユーモアとじんわりとする感動で温かい気持ちに包まれる秀作。お薦めです。
ラストはご都合主義だけど良作
ペンギン好きにおすすめ
ペンギンと人間の交流映画って珍しいですが、ペンギンは鳥類だから賢くて繊細な動物で人を見分けるし懐くんですよね。
だから実話と知ってさもありなん、と思いました。
アルゼンチンの寄宿学校(男子校)が舞台で、
主人公はイギリス人。話される英語が美しいし、セリフもウィットに富んでいてそれだけで120点。
最初は人生に投げやりで斜に構えていた主人公が、なりゆきで預かることになったペンギンを通した他人との触れ合いを通して自分自身の生き様を見つめ直し、ある行動を起こす。
クーデターが起きたばかりの軍事政権下という特殊な状況がスリリング。
丁寧な脚本で主人公の心の動きがよく分かったし、押し付けがましさが全くなく、すっと心に入ってくる良い映画でした。
とにかく、主人公を演じたスティーブ・クーガンがイケボすぎて痺れました。イギリス人俳優の台詞回しはやっぱり良いですね…
あと、私は鳥を飼っているのですが登場人物たちがペンギンさんに独り言みたいに話しかけてしまうの、わかる〜と思いながら観ていました。彼ら、ホントにしたり顔で人間の話を聞いてくれるのでいつも癒されています。
動物の持つ癒しの力 軍事政権下のアルゼンチン
軍政下アルゼンチンでの奇妙な同居生活
1970年代の軍政下アルゼンチンを舞台に、生きる意味を失った英語教師がサルバドールと名付けた野生のペンギンとの奇妙な共同生活を送ることに…
実話がベースとの事だが、物語の背景にある軍事独裁政権の恐怖を描く為に政治活動家の娘を配している。教師が目の前で彼女が逮捕されるのを止められなかったという後悔、それをサルバドールに独白する事で再起を図り、統率が取れなかった学校生徒がサルバドールによって団結していくしていくという流れは少々強引ながらも分かりやすい。最初は重油まみれで登場するも、やがてプールで泳ぐまでになるサルバドールが微笑ましい。撮影の大半を本物のマゼランペンギンで行ったとの事で、スタッフもまさに忍耐と根性を要した事だろう。
ペンギンと言えば、奇しくもSuicaペンギンの勇退が報道されたが、せっかくならコラボしてほしかった。
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