劇場公開日 2025年12月5日

「笑って、しんみりして、考えさせられる」ペンギン・レッスン kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 笑って、しんみりして、考えさせられる

2025年12月13日
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鑑賞方法:映画館

フランスは実話ベースの映画を作るのがうまい。ちょっと笑って、ちょっとしんみりして、ちょっと考えさせられる。本作はフランス映画ではないけど、そんな雰囲気を感じさせる映画だ。
知り合った女性に気に入られるために重油にまみれたペンギンを助ける男性の話。と思っていたが、アルゼンチンの政治状況も織り込んだ、少し重みのある話だった。
クーデターが起こったアルゼンチンで、英国人が英語教師として働くのは肩身が狭いだろうなと想像する。ことなかれ主義でいるトムを責めることはできない。そんな彼がペンギンに懐かれ、飼育していく中で徐々に変わっていくという流れ。軍事政権の理不尽さの描き方は若干抑えめだが、抵抗する民衆を描く映画ではないからこれでいいと思う。
脚本がうまいと思ったのはトムが教える英語の授業で比喩表現についてたびたび触れることが伏線になっていたこと。最後のトムの比喩表現は、彼の変化をうまく表現していてちょっとニヤけてしまった。皆ペンギンの前で素をさらしてしまうのも面白い。自分のことを聞いてほしいと思っている人間の心理が面白く表現されていた。ペンギンのかわいさだけでも楽しめると予想していたが、それ以上のものを得られた映画だった。なかなかの掘り出し物だ。

kenshuchu
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