劇場公開日 2025年冬

「2回観て深まる余韻。何度でも味わいたい作品。」初恋芸人 yamanote.loopさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 2回観て深まる余韻。何度でも味わいたい作品。

2025年9月17日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

悲しい

『初恋芸人』先行上映で2回鑑賞しました。
同じ作品を短期間で繰り返し観るのは自分でも珍しいのですが、1回目と2回目と新しい輝きを見せてくれました。

初見では、主人公・佐藤賢治という冴えない芸人の生きづらさやもどかしさに胸が締めつけられ、感情を揺さぶられっぱなし。
主演俳優が完全に役に溶け込んでいて、原嘉孝さんのアイドルとしての姿を忘れるほど「佐藤賢治」そのものに見えました。

そして2回目。
物語全体の流れを知った上で観ると、演技の細部や映像の仕掛けに驚かされます。
例えば、会話の間合いや視線の動き、部屋の散らかり具合や小道具の配置など、キャラクターの関係性や心情の変化が細やかに表現されていることに気づきました。
一度目では気づけなかった「積み重ねの巧みさ」を見つけるたびに、作品の奥行きがどんどん深まっていきます。

映像は東京と因島、二つの場所の対比が印象的で、街の空気や光の差が物語を彩っていました。
リアルな質感を大事にした撮影は、登場人物の生き方と重なって、自然とその世界へ引き込みまれます。

音楽も素晴らしく、特にエンドロールの主題歌は観終わった後の甘酸っぱくも切ない余韻をさらに強めてくれました。
歌声と映像がシンクロして、心に長く残る体験となります。

2回観てもなお新しい発見があり、もっと観たくなる映画。
初恋のきらめきと人生のほろ苦さを、観るたびに違う角度から感じさせてくれました。
公開されたら私も何度も観に行きたいですし、ぜひ多くの方に劇場で味わってほしいです。

yamanote.loop