劇場公開日 2025年12月19日

「ひどい喘息発作の最中にも“いたした”ことがある」星と月は天の穴 ノーキッキングさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 ひどい喘息発作の最中にも“いたした”ことがある

2025年12月19日
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鑑賞方法:映画館

吉行淳之介の武勇伝は数知れず。武者修行と称して男色(男役)も何人か体験。夜毎、銀座に出没、飄々と吉原フーゾクをひやかし、淫行三昧を公言してはばからない。もっとも、女の数やスケールでは永井荷風にはかなわないが………

自身を投影した映画の主人公、妻に逃げられた男を設定したが、凡そ似つかわしくない。飽きてしまったから丁度よいとばかり、舌をペロリと出していそう。真顔で人生に向き合い、重厚な人間ドラマを書こうなんて気もないし、“文学者”を標榜しているわけでもない。軽妙洒脱、これがモットー。自身マイナーな文章家を自覚しているし。軽薄の中にエッセンスを収穫していくのが吉行淳之介の“トリセツ”であって、自虐に耽溺する主人公に焦点を充ててもあんまり意味がない。

やもめ暮らしの食事シーンは長塚京三の『敵』を彷彿させる。比べてしまうと雰囲気はアチラの勝ち。

監督お気に入りの綾野剛。演出の棒読み台詞はどうもいただけない。ホアキンが“出した”のを観たばっかりなので、ここもかよ!と思ったが見えなくて良かった。

出だしから死語を幾つか聞きました。億劫、接吻、おみおつけ。

なんと!宮下順子サマご出演!ほんならさー、インティマシーなんちゃらは、要らないよね。田中麗奈のも見せてくれっての! もう吝嗇!

『赤』で発情するってやつ、何処かで観たな。何かのパクリのような……

車中のお漏らしの場面、“純文学者”大江健三郎センセイはこう表現
『ただちにその肝要な部分が潤沢な分泌物で満たされた』
ちっとも“そそられない”が、世界市場を意識すれば、隠語や匂わせは排除。なにより翻訳者を困らせないこと。“女はしとどに濡れた”なんて論外。

吉行の好きなチーズケーキやパウル・クレーの絵はお約束で登場。

山崎ハコは好きだけど『夜明けのスキャット』はやっぱり由紀さおりで聴きたかった。

古いBMWでクラッシュ、プッツン終了かとおもえぱ、まだ先があった。長い!

振り返ってみると、今年は戦争映画がやたら多かったような気がするんだけど……“成人映画”の下地となる文学の需要があった20世紀、一連の大作が当局の忌諱に触れ、発禁処分や裁判沙汰があっても、それらをくぐり抜けてきた大御所、ヘンリー・ミラーは語った。
『悲惨な戦争より““平和的””な性交を書くのが何故いかんのかね』

ノーキッキング
Bacchusさんのコメント
2025年12月20日

お疲れ様です。
内容と★に乖離が…と思いましたがなるほどです。

Bacchus
トミーさんのコメント
2025年12月19日

共感ありがとうございます。
荒井監督は最近作は昭和歌謡を散りばめますね。アポロは唐突、田中さんはちょっとだけキレイなお尻の形出してましたね

トミー
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