殺し屋のプロットのレビュー・感想・評価
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シュレディンガーの犯人。
非情な病魔と戦いながら、息子を救うために息子が殺人犯であるようなトリックを仕掛ける。そのトリックが警察に見破られるのを計算してたんだな。いやあ見事です。
アル・パチーノの脇役も味が出てました。
無駄のない脚本
なかなかの良作見つけた
マイケル・キートン演じる異色の経歴を持つ殺し屋・ノックスがクロイツフェルト・ヤコブ病に侵され、徐々に記憶を無くしていくまでの物語を描く本作。
初めは地味な画面とゆっくりとした進行で作品のチョイスを誤ったかと思いましたが、物語が進むにつれその印象は誤りだったと気づきました。始まりは主人公であり殺し屋のノックスが医者から病を告げられるところ、ここから一週間毎にストーリーが展開していきます。
大まかなストーリーは解説の通りとして、息子から殺人の隠蔽工作を頼まれ、ラスト近くにそれは失敗したのかと思わせつつ見事などんでん返し。これにはうーん、やられたーと唸るしかなく…。
ラスト7週目、医療施設に入れられたノックスに会いに行く息子、自分のことが分からない風なノックスの様子に涙を流しますが、この時のノックスは本当に全てを忘れ去ってしまったのかと思わせる表情と仕草に、家族愛のカタチを考えさせられずにはいられないのです。
年末になかなかの良作を観させていただきました。
vase
あらすじを読んでみた感じ「メメント」に近しい記憶リセットものかなーと思いましたが、どんどん記憶が薄れていく過程を描くというところはかなり違いがあり、そういうところの点でもいろいろ比較ができました。
試写会にて鑑賞。
展開がノロッとしているのでかなーり地味な絵面が続き、そんでもって体感中々長いのがネックでしたが、用意周到な殺し屋の淡々とした感じは余すことなく描写されており、トリック要素もこねくり回さずちゃんと見せてくれたところはかなり印象良いです。
邦題の通り、プロットを立てて物事を進めていくので、派手な殺し合いとかは無いので、従来の殺し屋ものとはかなりギャップのある作りですし、マイケル・キートンはじめ役者パワーが強すぎるのもあって、ストーリーが若干置いてけぼりにされているかなとは思ってしまいました。
息子のためを思っての行動いう点でようやく点と点が繋がってしっかりストーリーになったなとは思いました。
少し静かすぎて好みではなかったですが、もう一度観たらいろいろと変わるのかな〜なんて思いながら試写室を後にしました。
鑑賞日 12/2
鑑賞時間 19:00〜20:55
ネオ・ノアールの指向である思考を覆す!?
本作とよく似た設定で、ある殺し屋が認知症を患い記憶があいまいになる2022年の映画『Memory』というのがあったけど... あたしからするとその映画は認知症を題材に挙げている割には映画製作者は、認知症というその病に関して漠然とだけで、加齢による物忘れと認知症の違いをあまり把握されてはいなかったと記憶する。あたしは、別の映画サイトでこのように映画の印象を載せていた。
「それよりももっと認知症を前面に押し 出して主人公の混乱ぶりを表し、危機に陥る様子を描くのかと思えば中途半端な一品と言えるかもしれません。」とまぁ~ぁ、いつものように、きつい事を... 失礼
ところで... 婉曲的思考により
"It is a far, far better thing that I do, than I have ever done;
it is a far, far better rest that I go to than I have ever known." (※忘却からの帰還として...カートンのラストの言葉より自分の身を犠牲にしてでも、より崇高な目的を果たすことへの価値観)だから婉曲的に考えればの... お話? そして婉曲的セリフの極みなのが、ノックスのセリフにも現れてもいる。
Knox: As far as you're concerned, I'm Schrödinger's
murderer.
映画を観なければ... いやたとえ観たとしても... 理解の範疇を超えるものとして引用が見受けられる。 ... それは...
量子力学の不気味さを考えさせる思考実験 "Schrödinger's cat" による彼のおかれている状態への比喩的表現となっている。
『Memory』という映画が、"認知症と健忘症" との違いを曖昧にしたことで映画の質があたしから言わせると体たらくと言えるものとなったけれども... 本作に関しては、主人公のジョンの立場、つまり "殺したのか? それとも殺していないのか?" の自覚の曖昧さがこの映画の本質であり、しかもその病質の微妙な変化においても自分の息子を助けるという人としての "最後の砦" を守りぬくところに映画の価値観が見出せるものとなっている。
クレーン役のアル・パチーノのセリフ
He wants to make a change to the list. Take off
the last name, the hooker.(※注意してください。この文章には女性を差別する言葉が含まれています。でもアルパチーノによるもんなので...)
このセリフが後の伏線となり、ネオ・ノアールの退廃的、虚無的、シニカルな雰囲気を和らげる... 映画の邦題『殺し屋のプロット』より "plot twist" でもあってヤコブ病を患っているにもかかわらず、人間性を失わない粋な終わり方をしている。
あたしの持論が初めて違ったというか... 「製作総指揮者が増えれば増えるほど映画の質が落ちる」... でもね、キートンの人柄が我も我もと出資したのに違いないとあたしは思っているって、言い訳として...失礼しました。
最後に不思議に思ったのが何故? アル・パチーノが映画出演を承諾したのかについて
キートンからの依頼なのかもしれないけど巨額の予算によるスリルよりも、登場人物たちによるシーンや物語全体の変化や動き、演技の抑揚などが、観客の関心を引きつけ、感情的な影響を与えるための様々な技術に重点を置いたことで、大規模なスタジオ制作とは異なるクリエイティブな体験が得られるからだと考えられる。(※高次的映画解説参照)
しいてこの映画に難があるとするなら...
日系女性が演じたコケイジョンのしかも男性社会の荒波の中でアジア系の有能な捜査官の女性リーダーが、狂牛病末期の患者にまんまとしてやられるところが... うまくプロットが出来ていても... 天邪鬼なあたいには... どうしても "?" が付いてしまう... 失礼しました。根がわがままなもんで⁉
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