「ベテランのダンディズム」殺し屋のプロット ゾアさんさんの映画レビュー(感想・評価)
ベテランのダンディズム
予告編を見て、頭脳戦のあるバトルアクションと思っていたら、すごく地味な展開でした。ただプロットは確かに練ってあって、ラストまできっちりスキのない映画でした。マイケル・キートン、アル・パチーノの円熟の渋い演技も見ごたえあって、しみじみ楽しめました。パチーノはパンフ読むまで気が付かなかった。まあ、老けましたねー。
脳が急速に劣化していくという不治の病に侵された男がどう散り際を迎えるかがテーマで、そのダンディズムを描いた作品です。殺し屋という設定なので、サスペンスが絡んだものになってますが、確執があって別れたけどまだ愛情は十分に残っている妻や息子や、仕事を共にしてきた親友(戦友)との別れをきれいに決着をつけて去っていく、かっこいい男の映画です。そういう言葉だと軽いけど、じんと心に響いてくる終わり方です。あと、やっぱりあの子は殺せなかったのね。
息子との決着は、「汚れた顔の天使」に思い至りましたが、「二都物語」になぞらえたのも、役に沿ったネタで粋でした。もっとも二都物語はよく知らなくて、パンフで見て検索してなるほどと思ったのですが。
物を楽しむのに教養って大事だな、なんてことも思いました。
でもこのタイトルはミスリードでしょ。原題通り、ノックスは遠くへ去った、というような感じの方が全然いいと思います。まあ、でもそれだとキャッチ―じゃないか(苦笑)
コメントする
